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留学生アルバイト、技能実習制度、特定技能制度。外国人労働者を雇うには、どれを利用すればいい?

留学生アルバイト、技能実習制度、特定技能制度の違いをざっくり説明

この記事は、外国人労働者を雇った経験がない雇用主向けの記事です。
まずは、専門的・技術的分野以外で外国人労働者を雇える制度としては、留学生アルバイト、技能実習制度、特定技能制度といった3つの代表的な制度がありますので、各々の制度について説明します。

留学生アルバイト

日本の大学や語学学校等に留学に来ている学生をアルバイトとして雇う形式です。メリットとしては、後述の技能実習制度や特定技能制度と異なり、職種の制限がないこと、在留資格の取得・更新の管理を雇用主側で行う必要がないこと等が挙げられます(留学生が入管で「資格外就労許可」を得ていることが前提になります)。他方でデメリットとしては、原則として週28時間以内までしか就労させることができないこと、学校を卒業してしまうと途端に就労させることができなくなること等が挙げられます。

技能実習制度

国から認定を受けた「監理団体」のサポートを受けて外国人労働者を雇う形式です。メリットとしては、後述の特定技能制度と異なり、職種の幅が広いこと(全部で80職種)等が挙げられます。他方でデメリットとしては、決まった作業しか行わせることができず、同じ職種でも異なる作業を行わせることができないこと等が挙げられます。特に、この作業というのが非常に細分化されているため、注意が必要です。

特定技能制度

入管法の改正に基づいて2019年4月に新たに認められた外国人労働者を雇う形式です。前述の技能実習制度と異なり、任意ではありますが、国から認定を受けた登録支援機関のサポートを受けることもできます。

メリットとしては、前述の技能実習制度と異なり、同じ職種であれば異なる作業を行わせてもよいこと等が挙げられます。他方でデメリットとしては、職種の幅が狭いこと(全部で14職種)等が挙げられます。

あなたにあった雇い方が分かるフローチャート

就労させる時間は、週28時間以内か?

まず、就労させる時間を週28時間以内にすることができる場合には、留学生アルバイトをオススメします。
理由は、技能実習制度や特定技能制度と異なり、職種の制限がなく、在留資格の取得・更新の管理を雇用主側で行う必要がないことから、最も簡便に外国人労働者を雇うことができるからです。
もっとも、学校を卒業してしまうと途端に就労させることができなくなってしまうので、安定的に外国人労働者を雇いたい場合には、後述の技能実習制度か特定技能制度を利用することをオススメします。

特定技能制度と技能実習制度で重複している12種類の職種に該当するか?

就労させる時間を週28時間以内にすることができない場合には、職種が以下の表から12種類に該当するかをチェックしてください。
該当するのであれば、技能実習制度の利用をオススメします。
理由は、技能実習制度と特定技能制度(特定技能1号)のいずれも最長5年しか外国人労働者を就労させることができませんが、以下の12種類は両方の制度で認められている職種のため、最初に技能実習制度で5年、その後に特定技能制度で5年の最長10年は、外国人労働者を雇うことができるためです(ただし、技能実習制度では作業に制約があるのは上述の通りです)。
なお、「建設」と「造船・舶用工業」については、その後に更に特定技能2号という制度の利用も検討できますが、この外国人労働者を雇った経験がない雇用主向けのものですので、詳細は割愛します。

※表は横スクロールできます

介護 身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助 等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施,機能訓練の補助等)
(注)訪問系サービスは対象外
ビルクリーニング 建築物内部の清掃
素形材産業 鋳造・鍛造・ダイカスト・機械加工・金属プレス加工・工場板金・めっき・アルミニウム陽極酸化処・仕上げ・機械検査・機械保全・塗装・溶接
産業機械製造業 鋳造・鍛造・ダイカスト・機械加工・仕上げ・機械検査・機械保全・電子機器組立て・塗装・鉄工・工場板金・めっき・溶接・工業包装・電気機器組立て・プリント配線板製造・プラスチック成形・金属プレス加工
電気・電子情報関連産業 機械加工・金属プレス加工・工場板金・めっき・仕上げ・機械保全・電子機器組立て・電気機器組立て・プリント配線板製造・プラスチック成形・塗装・溶接・溶接・工業包装
建設 型枠施工・左官・コンクリート圧送・トンネル推進工・土工・屋根ふき・電気通信・鉄筋施工・鉄筋継手・内装仕上げ/表装
造船・舶用工業 溶接・塗装・仕上げ・機械加工・電気機器組立て
自動車整備 自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備
航空 空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務 等)・航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)
農業 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)・畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
漁業 漁業(漁具の製作・補修・水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)・養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)
飲食料品製造業 飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)

2019/05/28時点

特定技能制度の残りの2種類の職種に該当するか?

上記の表の12種類の職種に該当しない場合には、職種が以下の表から2種類に該当するかをチェックしてください。
該当するのであれば、特定技能制度の利用をオススメします。
理由は、以下の2種類は、技能実習制度を利用することができない職種であるためです。

※表は横スクロールできます

宿泊 フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供
外食業 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)

2019/05/28時点

技能実習制度の残りの職種に該当するか? 技能実習制度は、80職種144作業が対象。

上記の表の2種類の職種に該当しない場合には、職種及び作業が以下のリンクからダウンロードできる一覧表に該当するかをチェックしてください。
該当するのであれば、技能実習制度の利用をオススメします。
理由は、以下の表の職種及び作業は、技能実習制度を利用することができる職種及び作業であるためです。

特定技能制度・技能実習制度のいずれの職種にも該当しない場合には?

特定技能制度・技能実習制度のいずれの職種にも該当しない場合には、就労させる時間を週28時間以内にし、留学生アルバイトの利用を検討することになるでしょう。
そのほか、専門的・技術的分野であれば該当分野での就労が可能ですし、日本人と結婚をして滞在している人や永住者の資格を持っている人なども、職種や時間の制限なく就労が可能です(以下のリンクを参照してみてください)。

以上、留学生アルバイト、技能実習制度、特定技能制度といった3つの代表的な制度について、結局どの制度を利用すればいいの?という質問に対しての回答でした。