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【2020年最新】外国人労働者「特定技能」の二国間協定とは?各国の手続きを解説

特定技能の二国間協定とは?

日本企業が抱える深刻な人材不足を解消するために外国人労働者の受け入れが拡大されています。中でも、在留資格「特定技能」による外国人の受け入れ拡大が盛んになってきています。

特定技能の受入れの仕組みの中で登場するのが、今回紹介する「二国間協定」です。
外国人労働者の受け入れに関する協定を、国と国の間で結ぶことです。
特定技能外国人の送り出し・受け入れを滞りなく進めるためのルールについて、人材の送り出し国と受け入れ国たる日本との間で交わし、協定を結びます。

二国間協定の目的

特定技能外国人の円滑・適正な送り出し・受け入れの実現

目的は、特定技能外国人の送り出し・受け入れを、適正かつスムーズに行うためです。
この二国間協定は、外国人労働者を送り出す国との協力覚書(二国間におけるルール表のようなもの)によって結ばれます。

あらかじめルールを作っておけば、外国人労働者に関するトラブルが起こっても大丈夫です。ルール通りに処理すればいいだけなので、国どうしのトラブルは起こりにくくなるでしょう。法律が違う国同士でやり取りをする場合は、このようにルールを作っておくことが大切です。

外国人の保護 –悪質なトラブルから守る-

二国間協定は、悪質なブローカー・仲介機関を排除する役割も持っています。
過去には、外国人労働者に多額の借金をさせ、不適切な保証金・手数料を搾取する仲介機関が存在していました。二国間協定でルールを作っておけば、違法行為への規制・取り締まりが可能になると考えられています。

実際には、人権侵害行為・偽変造文書に関する情報共有が円滑に行われるようになっています。
今後も、悪質な仲介機関の手口などをある程度、規制・摘発することが可能になるでしょう。二国間協定に期待です。

目的達成への手段

二国間協定による目的を達成するには、以下の2つの手段を用いることが必要であると考えられています。

1. 有益な情報共有を進めること

具体的には、以下の6点についての情報が共有されます。
①求人・求職に関する情報
②保証金の徴収
③違約金のルール
④人権侵害項
⑤偽変造文書などの行使
⑥費用の不当な徴収

2. 定期または随時に協議を行い、問題解決に務めること

具体的には、以下の5点についての問題解決が進められます。

①仲介業者がいかなる形でも、外国人労働者、その家族などの金銭・財産を管理すること。
②仲介業者が契約の不履行に関して、違約金・不当な支払いなどを課す契約をすること。
③受け入れ企業による暴行、脅迫、自由の制限などの人権侵害とみなされる行為。
④就労予定の外国人本人が偽変造の書類などを利用して不当に在留資格を取得すること。
⑤仲介業者あるいは受け入れ企業が、外国人労働者に内訳を公開せずに費用を徴収すること。

外国人労働者がトラブルに巻き込まれること、悪質な業者に騙されることをなくすため、上記のような取り決めがなされています。

二国間協定の国

二国間協定を結んでいる国は、12カ国です(2020年6月11日現在)。特定技能外国人を送り出しており、日本語試験を実施している国です。

【二国間協定を結んでいる国】
フィリピン, ネパール, カンボジア, ミャンマー, モンゴル, インドネシア, ベトナム, タイ, スリランカ, パキスタン, ウズベキスタン, バングラデシュ

【事例】 各国における受け入れ・手続について

受け入れ・手続きの事例を紹介します。

それぞれの流れは似ていますが、必要な書類の名前や機関の名称が異なっています。
違いに注意してみてみましょう。

カンボジア

〜カンボジアから新たに受け入れる場合〜

◯ 雇用契約の締結
カンボジア国籍の外国人労働者を受け入れる場合、
受入れ機関は、「カンボジア政府から認定を受けた送り出し機関(以下 認定送り出し機関)」を通じて雇用契約を結ぶ必要があります。

↓カンボジア政府から認定を受けた送り出し機関のリストはこちらから↓
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00021.html

◯ 登録証明書の発行申請(カンボジア側の手続き)
来日を希望するカンボジア人は認定送り出し機関を通じて、登録証明書を発行します。この登録証明書を発行する際は、カンボジア労働職業訓練省(MoLVT : Ministry of Labour and Vocational Training)に対して申請する必要があります。

MoLVTにおいては、
申請者であるカンボジア人が国内規則に沿った必要な手続きを行ったことが確認された場合、申請者に対して登録証明書が発行されます。
発行に要する期間は2〜3営業日ほどです。

◯ 在留資格認定証明書交付申請(受入れ機関の手続き)
在留資格認定証明書交付申請において、雇用するカンボジア人の登録証明書の提出が必要です。
よって受入れ期間はカンボジア人に対して、登録証明書の送付を事前に依頼する必要があります。

送付された登録証明書を添付の上、特定技能にかかる在留資格認定証明書の交付申請を、地方出入国在留管理間書に対して行います。

在留資格認定証明書が交付されたら、受け入れ予定のカンボジア人に送付します。

◯ 査証発給申請(日本側の手続き)
特定技能外国人として来日するカンボジア人は、上記で送付された在留資格認定証明書を在カンボジア日本国大使館に提示します。その後、特定技能にかかる査証発給申請を発行します。

〜日本に在留するカンボジア人を受け入れる場合〜

◯ 雇用契約の締結
日本に在留するカンボジア人を特定技能外国人として受け入れる場合、受入れ機関は特定技能にかかる雇用契約を締結します。
日本に在留するカンボジア人と雇用契約を締結する場合は、前述した「〜カンボジアから新たに受け入れる場合〜」とは違って、直接採用を行うことが可能になります。必ずしも認定送出機関を経由する必要がなくなります。

◯登録証明書の発行申請(カンボジア側の手続き)
カンボジアの制度上、日本に在留している、また直接採用活動を通じて就労している場合でも、登録証明書の発行が必要となります。
登録証明書を発行するには、認定送出機関を通じてMoLVLに申請する必要があります。

◯ 在留資格変更許可申請(日本・受入れ機関側の手続き)
雇用予定のカンボジア人が日本で就労するためには、カンボジア人本人が地方出入国在留管理官署に対して、上記にて発行された登録証明書を添付の上、「特定技能」への在留資格変更許可申請をする必要があります。

ミャンマー

〜ミャンマーから新たに受け入れる場合〜

◯ 求人票の許可・承認(ミャンマー側の手続き)
カンボジア国籍の外国人労働者を受け入れる場合、
受入れ機関は、「ミャンマー政府から認定を受けた送り出し機関(以下 認定送出し機関)」を通じて雇用契約を結ぶ必要があります。
送出機関が求人を行う際、受入れ機関から提出された求人票を「ミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP : Ministy of Labour, Immigration and Population)」に提出し、求人票の許可・承認を得る必要があります。

◯ 雇用契約の締結
認定送り出し機関は、上記で承認・許可を得た求人票をもとに人材募集をします。
受入れ機関は、送り出し機関からの人材紹介を受け、特定技能にかかる雇用契約を締結します。

◯ 在留資格認定証明書の交付申請(日本側の手続き)
受入れ機関は地方出入国在留管理官署に対して、特定技能にかかる在留資格認定証明書の交付申請を行います。

◯ 海外労働身分証明カード(OWIC : Overseas Worker Identification Card)の申請(ミャンマー側の手続き)
ミャンマーの制度上、日本で就労予定のミャンマー人は、海外で就労するためにMOLIPにOWICの申請を行う必要があります。

◯ 査証発給申請(日本側の手続き)
日本に就労予定のミャンマー人は、郵送された在留資格認定証明書を在ミャンマー日本国大使館に提示した後、特定技能にかかる査証発給申請をします。

◯ 特定技能外国人として入国・在留(日本側の手続き)
上記の手続きを済ませたミャンマー人は、日本での上陸審査の結果、上陸条件に適合していると認められれば、上陸が許可され、「特定技能」の在留資格が付与されます。

〜日本に在留するミャンマー人を受け入れる場合〜

◯ 雇用契約の締結
日本に在留するミャンマー人を特定技能外国人として受け入れたい場合、受入れ機関は、特定技能にかかる雇用契約を締結します。
日本に在留するミャンマー人と雇用契約を締結する場合は、日本の受入れ機関とミャンマー人が直接採用活動を行うことが可能です。必ずしも、現地の送り出し機関を経由する必要はありません。

◯ パスポートの申請(更新)(ミャンマー側の手続き)
雇用契約を締結し、日本に在留するミャンマー人は、在日本ミャンマー大使館においてパスポートの申請(更新)を行う必要があります。

◯ 在留資格変更許可申請(日本側の手続き)
雇用契約を締結するミャンマー人が日本に就労するためには、対象のミャンマー人が地方出入国在留管理官署へ、「特定技能」への在留資格変更許可申請を行う必要があります。

他の国手続きに関しては、以下の法務省のHPをごらんください。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00021.html

二国間協定が重視される理由

1. 出国時に借金を背負ってしまう

悪質な仲介機関が介在した場合、外国人労働者は借金を背負って日本で就労することになります。技能実習制度など、過去の外国人受け入れにおいては、このような事例が問題視されてきました。
技能実習生に、渡航前費用として多額の借金を背負わせる事例がありました。この借金の大半は、不当な仲介手数料・保険料です。この借金を完済しなければ、母国へ帰れないという外国人労働者もいます。
母国で暮らす家族のため、出稼ぎに来たにもかかわらず、不当な借金を背負わされてしまっては、意味がありません。無理に仕事をやめれば、その外国人労働者は母国へ強制送還されます。母国の家族にも借金を背負わせることにもつながり、迷惑がかかってしまいます。
このような悪質な仲介機関による最悪の事態を避けるべく、二国間協定が結ばれました。

2. 外国人労働者の失踪

外国人労働者が日本の就労先にて、劣悪な労働環境を強いられることがあります。特に、悪質な仲介機関によって紹介された就労先では、このようなことが起こりやすいです。
最低賃金を下回る報酬、過度な残業など、不法就労を外国人労働者が強いられてしまう事例があります。この状況に耐えることができずに、外国人労働者が失踪する事件が実際に起きています。

技能実習生の失踪者は年々増えています。「もっと高い賃金で働きたい!」「もっといい環境で働きたい!」という想いを抱きながら失踪します。しかし、失踪した場合は、不当就労者として扱われてしまいます。悪意を持って失踪したわけではないにもかかわらず、不当な扱いを受けてしまいます。
このような「外国人労働者が違法行為をせざるおえない状況」を解決する必要があります。不法就労という犯罪行為をなくすために、不正を許さない制度を設ける必要があります。
二国間協定の締結という法的整備をすることで、悪質な仲介機関の一掃を目指します。

二国間協定による変化

外国人労働者による借金問題・不当就労をなくすための「二国間協定」の必要性を解説しました。
では、これらによって一体何が変化するのでしょうか。

まず、二国間協定によって悪質な仲介機関の摘発が可能になります。仲介機関を摘発することができれば、出稼ぎなどの理由で来た外国人労働者が、借金を背負う必要がなくなります。
また、失踪・不当就労という負の連鎖を断ち切ることもできます。外国人労働者の人権保護を、日本の警察や政府が協力しながらできるようになります。

二国間協定の締結は、外国人労働者の人権侵害を阻止し、法的な保護を強めていくことにつながります。

今後の特定技能制度の課題

在留資格「特定技能」は、2019年4月に施行されたばかりです。そのため、今後も取り組むべき課題があります。

1. 職場環境の整備

まず、外国人労働者が安全に就労できる職場環境を整備することが大切です。同じ職場の日本人従業員と同じ条件・環境で就労させることを義務化されています。
具体的には、労働時間や報酬について。労働時間や報酬で日本人従業員との格差を設けることは、ルール上禁止とされています。

外国人労働者は安価な労働力ではありません。外国人労働者に対して、日本人が望まない仕事や労働条件を押し付けてはいけません。

2. 生活面での支援

外国人労働者が日本に滞在する間、快適な生活を送れるように支援することが必要とされます。外国人労働者に関しては、就業中のサポートだけでなく、生活面のサポートもしていくことが求められます。具体的には、入国時・帰国時の空港までの送迎、住居の確保、口座の開設、携帯電話の利用契約などがあります。
その他、言語の壁があり、生活に難点が出てきた際にサポートすることが必要です。
このように、外国人労働者が日本で快適に暮らせるよう、サポートしていくことが求められます。

まとめ

二国間協定の重要性は理解できたでしょうか?
日本で働く外国人労働者を守るためには、そのためのルール作りが必要となります。

また、特定技能制度はまだ施行されたばかりなので、
今後も様子を見ながら改善していくことが考えられています。

受入れ機関の方々には、
状況や変化に対応しながら、外国人労働者の雇用を守っていくことが求められます。