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この記事では、「多文化共生社会」について解説しています。「多文化共生社会」の定義、主な問題意識、求められる取組、取組事例を、外国人住民の現状を交えて紹介する記事となっています。この記事を読めば、外国人労働者が増えていく将来に向けて、知っておくべき知識が把握できます。

はじめに

日本の外国人定住者の数は年々増加しています。
同時に、日本人の人口は減少しており、今後の我が国の維持向上・活性化は日本人と外国人が共生しながら行っていくことが求められます。
しかし現状日本は外国人住民に関して、コミュニケーション不足、地域での孤立、ルールの伝達不足などの問題を抱えています。

そこで今回は、「多文化共生社会」の解説をしていきます。
それらの問題は具体的にどのような面で起こっているのか、論点はいったい何なのか、具体的な課題は何であるか、なぜ「多文化共生社会」が求められるのかを紹介していきます。

多文化共生社会とは

多文化共生社会とは、「国籍や民族の異なる人々が、互いの違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら生きていける社会」のことです。
まず、「多文化共生」という言葉に関して、様々な定義があります。

辞書(大辞泉)によると「多文化共生」の意味は、「国籍や民族などの異なる人々が、文化的な違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、共に生きていくこと」とされています。他にも、国土交通省による「多文化共生」の意味は、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的な違いを認め、対等な関係を築こうとしながら、共に生きていくこと」としています。

総務省の「地域における多文化共生推進プラン」では、指針・計画における「多文化共生」の意義として、以下の5項目を例示しています。

①外国人住民の受入れ主体としての地域
入国した外国人の地域社会への受入れ主体として、行政サービスを提供する役割を担うのは主として地方公共団体であり、多文化共生施策の担い手として果たす役割は大きいこと。

②外国人住民の人権保障
地方公共団体が多文化共生施策を推進することは、「国際人権規約」、「人種差別撤廃条約」等における外国人の人権尊重の趣旨に合致すること。

③地域の活性化
世界に開かれた地域社会づくりを推進することによって、地域社会の活性化がもたらされ、地域産業・経済の振興につながるものであること。

④住民の異文化理解力の向上
多文化共生のまちづくりを進めることで、地域住民の異文化理解力の向上や異文化コミュニケーション力に秀でた若い世代の育成を図ることが可能となること。

⑤ユニバーサルデザインのまちづくり
国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくような地域づくりの推進は、ユニバーサルデザインの視点からのまちづくりを推進するものであること。

(総務省 「地域における多文化共生推進プラン」平成18年3月より)

これら各所の定義づけから
・国籍、民族が異なる人々同士
・違いを認め合う
・対等な関係

などのことが共通して見受けられます。
そのため、多文化共生社会の定義は、「国籍や民族の異なる人々が、互いの違いを認め合い、対等な関係を気づこうとしながら生きていける社会」と考えられます。

問題の意識について

「すべて」の人が能力を発揮できる社会

日本は少子高齢化・人口減少が進んでいます。同時に経済のグローバル化が進み、人の国際移動が活発化しています。そのような中で、社会の活力の維持向上を図るには、外国からの人材(外国人労働者)を取り込むことが必要です。それに伴い、日本の、外国人労働者を含めた「すべて」の人が活躍できる社会にする意識が大切です。

外国人に関する問題の解決

日本で生活する外国人が抱える問題を解決することが必要です。日本で生活する外国人は依然として生活、教育、就労においての問題を抱えています。このような状況を改善しないままでは、社会的コストの増大、国際社会においての日本の評価が低下することにつながると想定されます。

日本の若年層の理解

外国人向けの対策を推進するとともに、今後増加していく外国人と共生していく日本の若年層の理解が求められます。

外国人との共生社会の実現に向けた主な論点とは?

日本語での生活ができるように

外国人住民が日本で、安定して就労し、生活していくためには、やはり日本語の習得が必要です。そのためには、今以上の日本語教育の推進が必要と考えられています。

手段としては、日本語学習機会の提供、大学や日本語学校などの法人と連携し、日本語能力評価基準などの周知活用。地域のNPOや国際交流協会がボランティアで運営する「日本語教室」のサービスとしての底上げなどが挙げられます。地域のみならず、法人との連携も求められています。

子どもの教育

今日の外国人の子どもと、日本人の若年層が共生していく未来に向けて、外国人の子どもの不就学、問題行動を改善することが必要です。
手段としては、就学機会の保証、日本語能力が不十分な親への支援、日本語教育の充実、公立義務教育学校の受け入れ体制の整備が挙げられます。
また、将来の就職のことを考慮すると、上級学校への進学支援の充実も必要かもしれません。

雇用・労働環境

外国人の安定した生活を実現するためには、雇用・労働環境のあり方を考える必要があります。
具体的には、安い賃金、社会保険・労働保険への未加入、職業訓練の機会確保が求められます。
また、外国人労働者の就労が多い製造現場に関して、近い将来AIによって仕事が減るのではないかと想定されています。そのため、製造現場で働く外国人が職を失わないための施作が必要です。

医療・社会保障

外国人が、日本人と同じような健康な生活を送るためには、医療・社会保障の観点が必要です。
現在、公的年金制度・医療保険制度・介護保険制度に関しては、国籍問わず、原則いずれかの公的制度に加入することになっています。

居住の安定確保

外国人が日本で難なく暮らすためには、居住の安定確保が求められます。この安定確保というのは、空間などの物理的な居住だけでなく、住宅の探し方・借り方、住む際のルールの伝達も含まれます。ルールの伝達に関しては、地域・近隣住民との軋轢・トラブルの回避にもつながります。

治安

治安の問題として、外国人犯罪組織、不法滞在、偽装滞在、不法就労などが挙げられることがありますが、本当にそうした犯罪が多いのか、増えているのか、イメージだけで語らず、冷静に議論することが必要です。また、日本人、外国人問わず、上記の被害にあわないためのリテラシー共有も求められます。

多言語化による外国人への情報提供

外国人が日本で生活する中で、情報のアクセスに困らないための施作が必要です。体調が悪いとき、災害が起きたときなどの緊急時に必要な情報にアクセスできなければ、生活に支障が出ます。
これを解決するには、前述した日本語教育の充実に加え、各種制度・サービスの多言語化も求められます。
また、緊急時のみならず、外国人が普段から自身の身を守るための多言語化、交通ルールの知識の多言語化も求められます。

互いの文化尊重、理解促進

これまで紹介してきたシステムや治安に関することに加え、そもそもの人としての尊重も考えなければいけません。
互いの文化を尊重し合う為には、交流機会の提供、地域行事、多文化共生のための人材育成が挙げられます。整備された体制に従うだけでなく、各々の啓発も大切です。

求められる取組

多文化共生社会の実現に向けた課題に関して、いったいどのような取組があるでしょうか。
今回は、4つの取組を紹介していきます。

コミュニケーションの支援

言語の壁、コミュニケーションの課題によって起こる問題を解決することが求められます。それによって、ルールの説明ができない、職場での教育が困難になるなど、様々な問題が生じることが想定できます。

実際、社会生活において、外国人が困難な状況に陥っていることがあります。その中でも重要な問題のひとつとして、病院などの公的機関でのサービスを受ける際にコミュニケーションが取れないことが挙げられます。

文化庁による日本語教室に通う日本在住外国人を対象にした調査、「日本語に対する在住外国人の意識に関する実態調査」によると、「日本語が十分にできなくて困ったり、嫌な思いをした場面」の問いで最も多かった回答は、「病院」となっています。

このように、公的なサービスを受ける際に言語による問題が生じてしまうことは、「健康な生活」を送れない原因となってしまうため、課題として解決すべきであると考えられます。言語の壁、コミュニケーションの課題を解決し、「共生」できるような施作が求められます。

生活支援

外国人が日本の社会生活を円滑に送るために必要とされる環境、生活基盤を整えることが求められます。
既存の問題のひとつとして、民間住宅での入居拒否です。公営住宅に関しては国土交通省からの通達もあり、外国人住民の入居者数は増加傾向にあります。しかし、民間住宅に関しては、外国人住民であることを理由とした入居拒否が少なからずあります。
外国人の定住化に伴う課題を解決し、生活環境、基盤を整える必要があるでしょう。

多文化共生の地域づくり

外国人が地域社会で孤立しないための施作が求められます。前述したコミュニケーションの課題によって、外国人住民の地域での交流機会が不足することがあります。それによってできる日本人と外国人の間の軋轢によって、地域社会全体での連携に影響が出ることが考えられます。外国人の住民としての自立を促進するためにも、「地域づくり」としての施作が求められます。

実際には、日経南米人を初めとする多くの外国人が、日本の若年労働者が敬遠しがちな製造現場などで働いており、地域経済の下支えをしています。このような外国人の地域での動向を把握し、共生の推進に向けて理解していくことが求められます。

また、外国人との交流は異文化の理解力向上につながり、本記事の初めに定義として掲げた「国籍や民族の異なる人々が、互いの違いを認め合う」ことの実現に近づきます。

多文化共生推進体制の整備

これまで紹介してきたことによる課題を、外国人向けのオリエンテーション、支援システム、児童の教育、ネットワークの構築などの体制整備によって解決していくことも求められます。

実際には、家庭ゴミなどの一般廃棄物の取り扱いなど、地域における生活ルールの共有に関して、外国人住民と日本人との間でのトラブル。非熟練労働者としての間接雇用、賃金・労働時間、社会保険未加入などの労働環境。児童の日本語習得困難、不就学問題などが発生しています。

これらのことは、自治体やNPO法人の整備・連携によって、オリエンテーションシステムの構築、相談窓口の設置をする必要があります。意識だけでなく、普段からの体制整備が求められています。

取組事例

減災のための「やさしい日本語」

弘前大学社会言語学研究室が、外国人の中から災害時の情報弱者が出ることをなくすために行った取組です。「やさしい日本語」により、外国人向けの災害情報を提供しています。この取組により、防災パンフレットへの採用や施設での放送、緊急地震速報、ポスター、案内標識に活用されています。

119番通報の他言語放送

横浜市消防局、大阪市消防局、堺市消防局三者通話は、多言語に対応できる民間のコールセンターの通訳を介して三者通話を行うシステムを導入しています。
計5カ国後(英語、中国語、韓国語・朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語)に24時間対応しており、日本語を話せない外国人の119番通報への対応や、緊急時の円滑なコミュニケーションを助けます。

ふじみの国際交流センター民設民営 外国人相談窓口

NPO法人ふじみ野国際交流センターの代表である石井氏がふじみ野市に一軒家を借りて開設した、約50人のスタッフによる外国人支援の相談窓口です。
日本の入国者への日本語指導、DV被害者への支援、多言語での生活情報の提供・無料生活相談、外国人の子供に対する学習指導・進路指導、外国人住民と日本人住民の交流の場である「交流サロン」の開催など、外国人住民に対して幅広く、外国人の支援を行っています。
現在では、ふじみ野市、富士見市、三芳町から外国人生活相談窓口の業務委託を受けています。

まとめ

今回は、「多文化共生社会」の解説として、今後日本がどのような意識、論点を持ち、どのような課題と向き合うべきかを紹介しました。
外国人住民が抱える具体的な問題を紹介したので、「多文化共生」の重要性を感じていただけたかと思います。

日本の今後の維持向上・活性化は日本人と外国人が共生しながら行っていくものであると考えられています。
そのためにも、早い段階で、持つべき意識、論点、向き合うべき課題を明確にし、把握しておくことが求められるでしょう。

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