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全般

今回は、特定技能の対象業種への追加を見送られている「コンビニ業界」について解説します。
人材不足に悩まされているコンビニ業界は外国人従業員を必要としており、特定技能の対象業種への追加を望む声があがっています。
しかし2023年現在、追加は見送られています。

これについて、コンビニ業界の現状、特定技能、見送られた理由などを深掘りし解説していきます。

特定技能への「コンビニ」の追加は見送りに

優秀な技術・知識を持つ外国人が日本で働くための在留資格、そのうちのひとつに「特定技能」というものがあります。この特定技能で働くことができる分野・職種は限られており、ここに「コンビニ業界」が追加される可能性がありました。しかし、2023年現在ではまだ追加されていません。

自民党の外国人労働者等特別委員会は2020年6月、特定技能の対象業種に「コンビニ業界」を加えるための提言を取りまとめました。コンビニで働く外国人はすでにたくさんいらっしゃるのですが、そのほとんどは留学生です。そして留学生の外国人は原則、週28時間までしか働けません。また従業員のまとめ役を担う外国人従業員も増えており、このような外国人労働者がもっと長い時間働ける環境が必要とされていました。
そこで、「コンビニ業界の人材不足を解決すること」「コンビニ業界にてフルタイムで働ける外国人を増やすこと」を目的に、特定技能へのコンビニの追加の案が挙げられました。

しかし残念なことに、特定技能への追加は見送られてしまい、2023年6月現在、まだ追加されてはいません。

コンビニ業界の現状

人材不足

日本のコンビニ業界は慢性的な人材不足に悩まされている現状です。
店舗数が年々増加しており、これによってコンビニ業界全体の売り上げは増加しているものの、各店舗が人材募集に困っています。また、「コンビニでの労働は過酷」「賃金がなかなか上がらない」などのマイナスイメージを持たれていることもあり、日本人従業員がなかなか集まらない状況です。
このような現状が原因で、営業時間を変更せざる得ないコンビニが出てきています。従業員不足により、各店舗のオーナーへの負担が大きくなり、マネジメント業務が成り立たない店舗が出てきているためです。またコンビニ業界は従業員の不足に加え、加盟店のオーナーも不足しています。オーナーの高齢化、フランチャイズチェーン契約ゆえの不自由さ、過酷になりがちな労働形態などが理由とされています。例えば、アルバイトがひとり休むとオーナーはその分代わりに仕事をしなければなりません。このまま従業員不足が進むと、さらに過酷な長時間労働をする必要に迫られるオーナーが増え、前述したようにマネジメント業務が回らなくなる店舗が出てきてしまいます。
このように、コンビニ業界の人材不足は深刻な課題となっています。

就労時間の制限

一方で、コンビニで働く外国人従業員は増えています。
外国人従業員がいなければ成り立たないともいわれているほどです。すでに日本全国、各地域のコンビニでは多くの外国人従業員が力を発揮してくれています。しかしその多くの外国人が留学生として日本に滞在しており、就労時間に制限(原則週28時間まで)があります。コンビニは24時間営業であるため、就労時間の制限はかなりネックとなります。このように、コンビニは営業時間が長いにも関わらず、外国人従業員に関しては勤務時間を短めに調整する必要があります。このネックをなくすためには、外国人従業員がさらに長い時間働くための在留資格が必要です。

外国人に人気のコンビニ

コンビニ業界の人材不足、マイナスイメージなどを前述しましたが、実は日本に滞在している外国人の中には、コンビニで働きたいと考えている方が多くいらっしゃいます。

主な理由は以下の3つです。

1. 高時給で働ける

日本のコンビニで働く外国人従業員には留学生の方が多いです。その留学生の方々には就労時間の制限があり、週に28時間までしか働くことができず、少しでも時給の高いアルバイトなどを仕事にしたいと考えています。
そのような中、日本では夜10時以降の時給が1.25倍となるため、深夜も営業しているコンビニは、高時給のアルバイトを探している方々にとって条件があう職場となります。

実際、外国人に人気のアルバイトといえば、ファミリーレストラン、居酒屋、コンビニなどがあげられます。チェーンの飲食店であれば24時間営業の店舗もありますが、夜10時以降の営業時間が短いところも多く、長時間の深夜勤務が可能なコンビニでのアルバイトを希望する外国人が多いということになっています。

2. 日本語を実践できる

コンビニで働く外国人従業員の大半は留学生です。そして日本に滞在している留学生は日本語力の向上を望んでいることが多いです。
そのような中、コンビニのアルバイトではお客様の質問に答える、レジでの様々な対応をするなど、日本語を使う機会が多いため、働きながら日本語を実践できる場にもなっており、日本語を学びたい外国人にとって魅力的な職場となっています。

3. 店舗数・求人が多い

コンビニ業界では人手不足が続いていることから、多くのコンビニが継続的に求人を出しています。そのため、留学生が日本に来てアルバイトを探すときに目につきやすく、気軽に応募できる職種になっています。
また、コンビニは日本全国のいたる所に店舗があり、留学生の居住地から近い職場となる可能性が高いです。日本での生活に慣れていない、まだ遠くへ出かけられる自信がない外国人の方にとっては魅力的な条件です。
このように、店舗数と求人が多いコンビニは、外国人にとって条件が合う職場となっています。

これらが、コンビニで働きたい外国人が多い理由です。
そのように、働き手が欲しいコンビニ業界に対して、働きたい外国人が多くいるというのが現状であり、もっと長い時間働けるようにするため、またコンビニ業界の人材不足を解決するためにはやはり、特定技能への追加が必要でしょう。

「特定技能」とは?

特定技能とは、日本企業の人材不足対策として導入された外国人材を受け入れるための政策です。すでに8万人以上の外国人の方々が、この特定技能によって日本で働いています。
また、特定技能で入国する外国人労働者は技能・日本語力に関する試験を合格した上で入国するため、あなたの職場での即戦力となります。

ただし、特定技能制度は業種の制限があるため、どの企業でも受け入れが可能というわけではありません。製造業や建設業など計14業種にて特定技能での受入れが認められています。この14業種にコンビニは含まれていないため、特定技能制度による外国人の雇用は現時点ではできません。

なぜ特定技能にコンビニを追加すべきなのか

特定技能にコンビニを追加すべき理由として一番に挙げられることは、やはりコンビニの人手不足を解消するためです。繰り返し述べてきた通り、コンビニ業界は深刻な人手不足に陥っています。この状態が今後も続くと、コンビニ業界で働く人、特に各店舗のオーナーが抱える負担がさらに大きくなり、看過できない状況になると考えられます。またコンビニは日本で生活する方々にとって重要なインフラであり、商品を販売すること以外にも夜間の防犯機能など多くの社会に貢献する役割を担っています。コンビニ業界が十分な人材を確保できないことは、コンビニを利用するお客様にとっての不都合にもなります。

なぜ追加が見送られたのか

1. 特定技能の雇用コストに耐えられない

これにはコンビニ業界における既存のビジネスモデルが大きく関係しています。コンビニの多くは本部と各店舗のオーナーのフランチャイズ契約(以下: FC)という形で成り立っています。本部が提供する商品の販売ノウハウなどの対価として、FC店は売り上げから仕入れ原価を差し引いた粗利益に応じて加盟店料を本部に支払い、FC店は粗利益の残りから従業員の給与や光熱費などの諸経費を払います。

本部の狙いは、日本全国に店舗を増やし、売り上げを伸ばしてロイヤリティを増やすことです。そのため、店舗拡大の縮小や24時間営業の廃止は避けたいと考えます。

しかし、FC側は店舗の人手不足の進展により従業員の確保が難しくなっています。それを避けるために時給をあげたくても売り上げの増加がみられない中の時給値上げは経営悪化に繋がるためそれもできません。
また24時間営業という規約が契約にあるゆえ営業時間の短縮もできず、深夜の売り上げが少ない状況下でも営業を続ける必要があります。人員削減のためオーナー自身が店頭に立つも、赤字経営やオーナーの疲労に繋がっているのが現状です。

特定技能制度を活用するには費用がかかります。
しかし、このようなビジネスモデルのもと経営しているコンビニには、特定技能人材の採用に必要なコストを支払うことは難しいと考えられています。

2. 特定技能の事務工数に耐えられない

特定技能制度によっての外国人を受け入れるには様々な事務工程をこなす必要があります。採用する前、採用した後の両方に多くの事務手続きがあるため、ただでさえ人手不足で困っているコンビニ事業者にとっては困難でしょう。これらの手続きは制度を適正に使うためのものであり、他が回らないことを理由におろそかになってはいけません。また、それらの事務手続きを外部に委託するという選択肢もあるのですが、コストが掛かるため、コンビニの店舗にとって大きな経済的負担となってしまいます。空港送迎や居住地紹介までも特定技能外国人の支援に必要となるため、外国人本人に費用を負担させることができないかと考える企業の方もいらっしゃいますが、それはできません。特定技能で受け入れる外国人は高い語学力や技術が高いということもあり、受け入れるハードルが高く設定されています。

これらの主な2つの事を理由に、2023年現在は特定技能の対象職種への追加が見送られています。

【2023年版】コンビニで外国人を採用するには

1. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、大学などを卒業した外国人や、母国などで実務経験を積んだ外国人が日本の会社に就職する際に取得する在留資格です。専門性をもった業務に従事することが想定されており、エンジニアや通訳などがこの在留資格を取得し、日本で就労しています。

コンビニ業界で在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもつ外国人を雇用する場合、発注業務や在庫管理、勤務管理などの専門性が求められる業務にのみ従事させることができます。レジ打ち、品出しなどの単純労働は原則として認められていないため、任せることはできません。
コンビニでの業務内容は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」における典型的なものとは言えないため、上記のような業務をする場合でも、必ず認められるという保証はありません。入管への申請時に、コンビニでの業務がいかに専門的かを説明する文書を添付する過程があり、この書類が非常に重要となるでしょう。

2. 在留資格「特定活動46号」

日本の大学などを卒業した留学生は専門的知識や高い日本語能力を有しており、幅広い分野での活躍が期待されますが、従来の在留資格ではコンビニにおけるサービス業務などに専従することは認められていませんでした。このような背景から在留資格「特定活動46号」が創設され、所定の要件を満たすことでコンビニ業務などが可能となりました。

特定活動46号で就労するためには、以下の2つのポイントをクリアすることが必要です。

① 日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務であること

「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」とは、いわゆる「翻訳・通訳」の要素のある業務、来店客など第三者へ働きかける業務です。コンビニの業務においては接客などの際に日本語でのコミュニケーションがこれに該当するといえます。

② 日本の大学または大学院にて修得した知識・応用的能力等を活用する業務と認められること

「修得した広い知識及び応用的能力等を活用する」とは、商品企画や管理業務など、一般的に大学において修得する知識が必要となるような業務を意味します。コンビニでの業務内容がこの2点をクリアしていることを、申請時に入管へ説明することで、特定活動46号で外国人を雇用できる可能性が高くなります。

入管への申請は厳しい審査のもと行われるため、必ずしも認められるわけではないこともご理解ください。

まとめ

人材不足などを理由に、コンビニ業界は特定技能の対象業種への追加を望んでいます。しかし、既存のビジネスモデルなどを理由に、コンビニが特定技能制度を活用することは不可能と考えられ、追加が見送られているのが現状です。

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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