全般

この記事では、外国人のアルバイト雇用について解説します。主な内容は、外国人のアルバイト雇用の増加、外国人の在留資格(ビザ)、雇用までの流れ・手続き、注意すべき点などです。これを読めば、外国人アルバイトを雇用するために必要な知識、日本人を雇用する場合との違い、トラブルを未然に防ぐ方法を知ることができます。

外国人アルバイトの増加

外国人留学生の増加

日本の外国人留学生の数は年々、増加し続けています。
日本学生支援機構の調査結果によると、2012年以降、6年連続で増加しており、2018年5月時点で298,980人の外国人留学生(注1)がいます。

外国人留学生の増加に伴い、その留学生をアルバイトとして雇用する店舗、会社が増加しています。そして、雇用者が外国人労働者の雇用に関する知識を持っていない、在留資格などに関する必要な手続きを知らないなど、これらのことによって起こるトラブルが増えています。

トラブルが起きてしまうことは、雇用される側である外国人留学生、雇用する側である店舗・会社の双方にダメージを与えることとなります。

注1: 大学院、大学(学部)、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、準備教育課程、日本語教育機関における総数。

外国人のアルバイト雇用を促進すべき?

一方、このようなトラブルが起こる中、外国人のアルバイトの需要は高まっています。その理由は、人手不足です。

2019年9月のパートタイム(=アルバイト)の有効求人倍率(注2)は1.73倍です。これは、アルバイトに雇用において人手不足であるということを示しています。

特に求人倍率が高いのは製造業やサービス業。人手不足による、営業活動への影響が出ているようです。
このような現状を抜け出すために、外国人のアルバイト雇用を増やしていかなければならないという声が上がっています。

ですがそのためには、外国人のアルバイト雇用に関する知識が必要です。これがなければやはり、在中資格などに関するトラブルが起こります。

このような、留学生などの外国人のアルバイト雇用に関するトラブルを回避したい方、そして外国人を採用し、トラブルなく雇用したいという方のために、今回は外国人のアルバイト雇用においての採用、雇用、注意すべきことを紹介していきます。

 

注2: 公共職業安定所(ハローワーク)に申し込まれた求人数(雇用したい人)を、求職者(雇用されたい人)で割った値。数値が高ければ(1を超えていれば)、人手不足。低ければ(1を下回っていれば)、仕事につきにくい。

外国人の在留資格(ビザ)について

在留資格(ビザ)とは、外国人が日本に滞在するために必要な資格(ステータス)です。この在留資格の種類により、その外国人が日本でできる活動が決まります。

つまり、「アルバイトができる or できない」が、在留資格によって変わるということです。そのため雇用者は、在留資格に関する知識を持っておくことが必要となります。

どのような在留資格があるのか

在留資格の例をいくつか見てみましょう、以下がその一例です。

1.定住者
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者

2.永住者
法務大臣が永住を認める者

3.永住者の配偶者等
永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者

4.日本人の配偶者等
日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者

5.文化活動
収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(在留資格一覧表の留学,研修の項に掲げる活動を除く。)

6.留学
本邦の大学,高等専門学校,高等学校など(一部抜粋)の各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動

7.家族滞在
技能,文化活動,留学など(一部抜粋)、特定の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動

8.技能
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

参照: 出入国在留管理庁 「在留資格一覧表(平成30年8月)」

 

アルバイトとして雇用できる在留資格はどれ?

以下の在留資格の人は、原則としてアルバイトとして雇用することが可能です(注3)。

・定住者
・永住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・ワーキングホリデービザ

注3: 入国管理局が指定する特別な業務・活動を除く。

手続きをすればアルバイト可能な在留資格

個別に手続きおよび許可が必要な在留資格があります。代表的なものが以下の3つです。

・文化活動
・留学
・家族滞在

以上の在留資格に関しては、「資格外活動許可」を個別に得てもらう必要があります。
これに関しては、【外国人を雇うために、必要な手続き】にて解説します。

外国人を雇う際の流れ

採用までは日本人とほぼ同じ

採用までに関しては、日本人のアルバイト雇用と同じです。特定の媒体や機関を通して募集する必要があるということはありません。

求人媒体で募集 → 応募者の書類選考・面接 → 採用者に連絡 → 雇用契約を結ぶ

という、多くの雇用者がアルバイト募集の際に行っているような流れです。
また、採用者の書類提出の流れも日本人の場合と同じです。マイナンバーや住民票などの公的書類は、在留資格を得るタイミングで発行されています。

このように、採用までの流れ・書類の提出は日本人の場合とあまり変わりありません。

採用後は提出書類に注意

採用後の大まかな流れも、日本人とあまり変わりません。社会保険の加入、所得税・住民税の課税など、日本人と同様です。ちなみに労働そのものに関しても日本人と同じく、労働基準法が適応されます。

ただし、提出書類に日本人との違いがあります。ハローワークに提出する「雇用保険被保険者資格取得届」に「雇用する外国人の国籍・地域」、「在留資格」、「在留期間」などを記入。雇用保険に加入しないアルバイトであれば、「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況通知書」を提出するなど、数点の違いが生じます。

以上のように、大まかな流れは日本人を雇用する場合と同じといえるでしょう。
手続きの詳細に関しては、次の項目で解説します。

外国人を雇うために、必要な手続き

「資格外活動許可」

入管法により、外国人留学生などの特定の在留資格を持つ外国人のアルバイトには「資格外活動許可」が必要となります。この許可なしでアルバイトを行った場合、不法就労となります。

なぜ必要なのでしょうか。
そもそも、在留資格(留学生であれば「留学」)に含まれていない収益活動は禁止されています。要するに、アルバイトは収益活動であり、それは「在留資格(留学)」に含まれていない活動なので、認められません。

しかしそこで、あらかじめ資格外活動の許可を受けていれば、その外国人留学生はアルバイトなどの収益活動を行うことが認められます。この流れが、資格外活動の許可制度によるものです。

資格外活動の許可手続きは、「資格外活動許可申請書」に在留カードを添付して、入国管理局・支局に申請します。手数料は必要ありません。

採用の前に必ず確認することが必要です。もし面接の際、まだ許可を得ていなかった場合は、労働契約を結ぶまでに許可を得れば問題ないので、そのように促すようにしましょう。

申請書などは法務省HP「 資格外活動許可申請」を参照にしてください。

ハローワークへの届け出が必要

雇用対策法により、企業が外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」の者を除く)を雇用する際と離職する際に、ハローワークへ届け出をするが義務付けられています。雇用形態問わず必要なので、アルバイトの場合でも必要となります。

この届け出を怠った、虚偽の報告を行った場合、その企業は指導・勧告の対象となり、30万円以下の罰金が科されることとなります。

この届け出は、電子申請で行うこともできます。

外国人の選考・雇用するときの注意点

在留資格の確認

アルバイト可能な在留資格を持っているかどうかを確認しましょう。適切な在留資格を持っていない外国人を雇用してしまった場合、「不法就労助長罪」などの刑罰や入管法違反に問われる恐れがあります。必ず事前に確認しましょう。

確認方法は「在留カード」を見て確認することです。在留カードの中段あたりに在留資格の種類や、就労の可否が記載されています。

「在留カード」とは、在留資格の許可の結果として、中長期間在留する外国人に交付されるものです。したがってこれは、適法に在留していることを示す「証明書」にあたります。

また、「在留カード」を交付されている外国人は、常にこれを携帯することが義務付けられています。そのため、外国人労働者へ「在留カードを見せてください」と言った際に「今持っていない」「なくした」と答えられた場合には、そのことを安易に流してはいけません。

法律に触れる重要な確認事項なので、必ず実物を見て確認するようにしましょう。

採用条件をわかりやすく伝える

採用条件を事前にしっかりと確認しましょう。これは日本人、外国人問わず大切なことです。しかし採用する外国人が、まだあまり日本語に慣れていない場合は、「認識の違い」「重要事項が伝わっていなかった」などによるトラブルがあるかもしれません。

そう考えると、日本人の採用者以上に気を使って、コミュニケーションをとることが重要になってきます。
手段としては、面接時にその場でメモを取り、相手の言ったことを記録するという方法がオススメです。

日本語によるコミュニケーション能力

外国人なので、日本語が比較的堪能でないことが多いです。しかし、仕事内容によっては日本語でのコミュニケーション能力が重要になることがあります。

したがって面接の際に、その応募者がどの程度の日本語能力があるかを把握することが必要です。

また、日本語能力の目安となる資格「日本語能力試験」というものがあります。

この資格は、試験によって測定された日本語能力を、N1〜N5の5段階で示します。数字が小さいほど能力が高いです。各段階の認定の目安を「読む」「聞く」という言語行動で表しています。

各段階の目安については、日本語能力試験HPをご確認ください。

採用後のフォロー・体制作り

採用した外国人が、気持ち良く、窮屈な思いをすることなく働き続けるには、現場でのフォロー・体制作りが必要です。

具体的なフォローとしてあげられるのは、マネージャーや店長などの管理者が、定期的に1対1で話す機会を作ること。おそらく日本人より緊張や不安を持っていると思います。

それらを貯めこませないために、話を聞いてあげることが必要です。
また体制づくりとしては、外国人向けのマニュアルを用意することが挙げられます。難しい漢字をなくすなど、外国人が読めるようなマニュアルを用意しましょう。

日本の法律が適用される

外国人をアルバイト雇用する場合でも、基本的には日本の法律が適用されます。労働基準法、最低賃金を遵守しなければいけませんし、労働契約も結ばなければいけません。

要件を満たしていれば、保険の加入、有給休暇の付与も必須となります。

禁止されている業種

以下の業種では、外国人留学生のアルバイトが禁止されています。

・風俗営業もしくは店舗型の風俗特殊営業が営まれている営業所において行うもの

・無店舗型の性風俗特殊営業、映像送信型の性風俗特殊営業、店舗型の電話異性紹介営業もしくは無店舗型の電話異性紹介営業

要するに、パチンコ店、ゲームセンター、麻雀店、スナック、風俗店などでのアルバイトが禁止されているということです。

労働時間の制限

外国人留学生の場合、労働時間は週28時間以内という制限があります。掛け持ちでアルバイトをしている場合も、すべてのアルバイトを合計した労働時間が週28時間以内でなければいけません。日本に来ている本来の目的、「学業」をおろそかにしてしまわないようにするためです。

また、その外国人留学生が在籍する教育機関(大学など)のルール上における長期休業期間(夏休みなど)に当たる場合は、1日8時間以内が原則となります。

まとめ

今回は、外国人アルバイトの雇用について紹介しました。
外国人労働者が増加する中、アルバイトとしての雇用も増加していくであろうということは言うまでもありません。人材不足を解消するためにも、日本の店舗や会社の雇用者が、外国人雇用に関する知識をつけていくことが求められます。

今回紹介した内容は、主に「法律に関すること」「外国人労働者が快適に働くためのこと」の2つになります。両方とも大切なであり必要なことなので、把握し意識するようにしましょう。

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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