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少子高齢化が徐々にと進行しつつある国内情勢の中で、外国人労働者の雇用を検討する企業は増えてきています。実際には外国人労働者をめぐる状況はどうなっているのでしょうか。
外国人労働者の雇用の流れとメリット、また雇用する際の注意事項について解説します。

外国人の雇用の流れとメリットと注意事項について徹底解説!

少子高齢化が徐々にと進行しつつある国内情勢の中で、外国人労働者の確保の必要性を訴える声は年々大きくなってきています。産業分野によっては企業経営の存続に関わりかねないほどの深刻な労働者数不足の現状が報告されています。そのような中、実際には外国人労働者をめぐる状況はどうなっているのでしょうか。

外国人労働者は増加している

日本における外国人労働者の数は年々増加する一方です。日本側としては少子高齢化の影響もあって、特定の産業分野では労働者数が極端に不足しており、作業の機械化や高齢者の起用を促進しても追いつかないほどの深刻な状況も発生しています。

それらの分野はこれまでは外国人技能実習生や外国人留学生アルバイトなどで補ってきましたが、人手不足の解消には至っていないというのが現状です。

そんな中、「改正入管法」が成立し、「特定技能1号」「特定技能2号」という在留資格が設定されました。

「特定技能1号」は「特別に訓練を受けなくてもすぐに業務遂行できる水準の技術を有する外国人」に与えられる資格で、通算5年という期限付きの就労が認められます。

「特定技能2号」は「より高度な専門的技術による業務自分の判断によって遂行できたり、監督者として業務を統括遂行しながら熟練技術の業務を遂行できる外国人」に与えられる資格で、在留期間の更新や、家族の帯同が認められます。

具体的には介護業、ビルクリーニング業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14業種です。

産業別に特定技能評価試験の実施が決まっており、2019年4月から外食業・介護業・宿泊業、さらに2019年内には飲食料製造業・ビルクリーニング業、2020年3月までに残り9業種となっています。

外国人労働者を雇用するメリットは?

上記のような現状の中、外国人労働者を雇用する企業は今後増加していくものと思われます。外国人労働者を雇用するメリットについて解説します。

労働力の確保

外国人労働者の増加傾向にあるのは宿泊業、飲食サービス業、卸売業、小売業、建設業です。日本を訪れる外国人観光客への対応のため、あるいは少子高齢化とともに難しくなってきている若い人材の確保といった理由で、幅広い業界での外国人労働者の必要性が高まってきているようです。外国人労働者を雇用することで、人材不足の解消に繋がるでしょう。

多言語対応が可能

多くの企業にとって海外企業との取引や海外進出は重要なテーマです。関りを持ちたい企業の国の言語に堪能な社員がいれば、営業や受注などの業務が極めてスムーズに行えることになります。海外進出を目指している国出身の社員を雇用すれば、用地確保や工場建設、従業員雇用などの一連の業務におけるトラブルや支障を大幅に削減できるなど効果は絶大です。
レストランなどの接客業であれば、増え続けている訪日外国人客に対してスムーズな接客も可能になります。ただし、雇用する外国人は日本語が堪能でない場合もあるので、企業側も必要に応じて翻訳できる人員を確保するなど、言語対応が必要となります。

新しい視点による活性化

教育や文化など日本人とは違った環境で育ってきた人材を受け入れることで、日本人が気付かなかった新しい視点の発見や発想の転換などが生まれ、画期的な業務の改善・活性化・発展につながる可能性も出てきます。

外国人労働者を雇用する際の注意点

次に外国人労働者を雇用する際の企業側としての注意点を確認していきます。雇用の際に外国人差別をすることは禁じられていますが、日本人雇用の場合には発生しないような注意点が、外国人雇用の場合には発生します。事前に確認しておきましょう。

在留資格の確認

日本に在留している外国人は日本政府から在留資格を与えられています。(観光や商用が目的の短期滞在者を除きます)そしてその在留資格の内容によって従事できる職種が決められていて、届け出無しに勝手に別の職種に従事することはできません。在留資格が間違いないかどうか企業側はきちんと確認しておく必要があります。資格に定められた以外の職種に従事させるときは資格変更の届出をしなければなりません。期限切れしていないかの確認も忘れてはいけません。確認方法としては「在留カード」「旅券(パスポート)」「就労資格証明書」の提示を要求する必要があります。

自分の会社の規則や風習を理解してもらう

就業規則の履行は日本人にとっては当然のことであっても、外国人にとっては違和感や不満を感じる点があることも考えられます。また、文化や風習の違いから、場合によっては業務上のトラブルに発展する可能性もあります。これらの件に関しては、雇用を決定する段階で文書とともにきちんと説明して理解を求めておくべきです。

適切な雇用契約書の作成

外国人の場合、言葉以上に文書による契約を絶対視する傾向がある人が多いようです。雇用後のトラブルを避けるためにも、労働環境や規則について雇用側と被雇用側が理解し納得できる形での雇用契約書を作成しておくことは大事なことです。

雇用後にはハローワークへの届け出が必要

雇用後にはハローワークへの届け出が義務づけられています。この件に関しては「外国人の雇用保険について」の項で詳しく説明します。雇用保険に加入している人と、未加入の人で提出物に違いがあります。

参考記事:厚生労働省 外国人の雇用
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page11.html

外国人労働者を受け入れるために知っておきたい予備知識

外国人を雇用することで、先述した通り企業にとって様々なメリットが発生します。たとえば、深刻な問題になっている人手不足の解消が見込めるということ、将来的な海外進出への足掛かりを確保できるということ、さらに、勤労意欲の高い外国人労働者の加入によって職場の環境が改善され、生産性が向上するといった可能性が考えらます。

ただ、デメリットとして、文化や風習の違いがトラブルや人間関係の悪化につながる可能性があり、生産性の低下の危険性をはらんでいます。また、担当役所への書類作成・提出など煩雑な事務手続きがオフィスワークの負担となることも考えられます。

そのような点を考慮しながら、外国人雇用についてさらに詳しく見ていきます。

外国人の雇用保険について

労働基準法などの労働関係法令や健康保険法などの社会保険関係法令は、日本人と同様に、外国人にも適用されることになっています。条件としては1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある外国人労働者ということになります。 ただし、その前提として、雇い入れ時と離職時にハローワークへの雇用状況の届け出が必要です。

具体的には以下の通りです。

  • 被雇用者が雇用保険加入者の場合は、雇用の際に事業主が「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出します。離職する場合は「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。
  • 被雇用者が雇用保険費加入者の場合は、雇用の場合も離職の場合も「外国人雇用状況届出書」を提出します。

参考記事:厚生労働省 外国人を雇用する事業主の皆さまへ
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/dl/250318.pdf

事業主に課される雇用管理の責務について

外国人労働者にとって、異国の言語・文化・風習の中での就労は、強い不安や予期せぬトラブルに見舞われる可能性もあり、企業側による行き届いた管理体制が必要となってきます。雇用管理について具体的に見ていきましょう。

まず、募集・採用時の対応として、外国人差別など不当な対応は禁じられています。また、外国人であることを理由に労働時間・賃金・休日など労働条件での差別も違法となります。そしてそれらのことを書面などを通じて、外国人労働者が理解するような措置を講じる義務があります。

労働災害を防止するための安全教育や、労働環境の改善などの安全管理や、福利厚生の適用もきちんと実施する必要があります。保険適用・給付・請求手続きや脱退一時金など、法律に基づく諸手続きも日本人と同じように行うことが義務付けられています。

経営悪化の際の解雇も、差別的な選択は禁じられています。日本人と平等な扱いが求められます。再就職支援なども努力義務として定められています。また、10人以上の外国人労働者を雇用する場合は、雇用労務責任者を選定して、外国人労働者の適切な雇用を管理するものとされています。

外国人の雇用方法

  1. 外国人労働者を雇用する手順として、まず採用の目的をしっかりと確認します。会社の経営状況などから外国人労働者の必要性を明確にします。
  2. 外国人労働者の人間性や入国資格・在留資格などを確かめ将来のトラブルや違法状態の発生につながらないための情報収集を徹底します。
  3. 雇用状況をハローワークに届け出ます。
  4. 外国人労働者の雇用管理をしっかりと継続していきます。

外国人労働者を雇用するための必要な手順

実際に企業が外国人を雇用する場合の具体的な手順を確認していきます。

手順①面接予定者の就労ビザの取得見込みを確認する

就労を目的とする在留資格は日本で働くことを許可するものですから、これを所持していないと、もし雇用契約を結んでしまってもその企業で働くことは法律的に禁じられます。

以前は、専門的技術や知識を必要としない単純労働に関しては外国人の就労を目的とする受入れは原則として認められていませんでした。ただ、改正入管法が施行された現在では、その門戸は広がっています。

すでに日本にいる在留外国人の場合は在留カードの確認が必要です。その際、在留資格の種類、在留期間の満了日、資格外活動許可の有無をしっかりと確認します。

手順②面接後に内定を出したら雇用契約書を作成する

雇用契約書は入管での手続の際に提出を求められる書類ですから、入管で手続をするより先に作成しておく必要があります。労働条件を定め、かつ、業務上発生する可能性のある雇用や転勤・移動に関するトラブルを防止し、経済的・精神的負担を軽減するという、重要な役目を果たす書類です。

手順③就労ビザの取得手続きをする

雇用契約書が作成できたら、就労ビザの発行を申請します。申請先は、企業が所属する地域を管轄する入国管理局です。ここでは就労ビザの申請のしかたを3つの場合に分けて見ていきます。

まだ日本にいない外国人を採用する場合

雇用する企業が「在留資格認定証明書」を日本の出入国在留管理局に申請する。
発行された「在留資格認定証明書」を外国にいる内定者に送る。
内定者本人が現地の日本大使館に就労ビザを申請する。

すでに日本の別の企業で働いている外国人を中途採用する場合

出入国在留管理局に「就労資格証明書」の交付を申請する。
※前職で就労ビザを得ていても、新職でそのまま許可されるかわからないため、その確認を申請するという意味合いがあります。もしこの申請をしないまま雇用しても、更新の時期が来て申請しても通らない場合、雇用不可能になります。

後日のトラブルを防止するためにもちゃんと申請しておくべきです。なお、この申請手続きは内定者本人と企業のどちらでもできることになっていますが、やはり企業がする方が安心でしょう。

現在日本に留学中の留学生を採用する場合

留学生は留学のための在留資格を持っていますので、出入国在留管理局に就労を目的とする在留資格への変更申請を行います。

手順④就労ビザを取得できたら雇用を開始する

就労のための在留資格を取得したら、日本人と同様の仕組みでの雇用ということになります。社会保険の加入や給料体系も日本人と同じ扱いになります。

ただ注意点として、外国人を雇用する場合、ハローワークへの登録が法律で義務付けられていますので注意が必要です。ただし、外国人が雇用保険に加入している場合はその保険の手続きが、ハローワーク登録の代わりになります。

雇用保険に加入していないときは、「外国人雇用状況届出書」をハローワークに提出しなければなりません。

さらに注意点として、外国人の場合、日本人が考える以上に契約を重視する人もいるので、トラブル防止のためにも就業規則のコピーを渡して、受け取ったことを示す受領のサインをもらっておいた方がよいでしょう。

また、在留カードが期限切れにならないように、更新日を企業側が把握しておくことも大事です。

不法就労が判明した場合の対処法

不法就労とは、どういうことでしょうか。基本的には、在留期限を超えても日本国内にいて就業していたり、就業が認められている職種以外の職に従事している場合があげられます。

現実的に、日本国内では現在、不法就労している外国人や、不法就労者を雇用している事業主がいるようです。どちらも違法であり、罰則が適用されることになります。

そのようなトラブルを防ぐためにも、「在留資格の確認」の項で示した「在留カード」「旅券(パスポート)」「就労資格証明書」の提示を求めてしっかりと確認する必要があります。

もし不審な点があったり、不法就労が判明したら、出入国在留管理局に報告する義務があります。

まとめ

人手不足が深刻化している業種にとって、外国人労働者の受け入れは願ってもない助っ人の登場、まさに天の助けに等しい存在でしょう。

しかし、中には、日本の言語・文化・風習に馴化することに苦労する人もかなり存在する可能性があり、その面での環境整備やシステム改善などの対策が必要となってくるでしょう。

企業としては、そういった点に注意しつつも、異文化との交流を進めながら外国人労働者の雇用を促進し、経済発展を成し遂げていかなければなりません。

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