全般

私たちが法律のもと安全に暮らすために必要な「法律」と「会計」。
この「法律」「会計」に関する仕事は
外国人労働者でも行うことができます。

そこでこの記事では、在留資格「法律・会計」について、また取得に必要な情報を解説しています。
在留資格「法律・会計」で働くために必要な
資格の保持、また各士業団体への登録など
押さえておくべき情報がありますので、必ずチェックしておきましょう!

在留資格「法律・会計」とは?

出入国在留管理庁では、日本において行うことができる活動内容等として以下のように定められています。
「外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動。該当例としては,弁護士,公認会計士など。』

では、これを詳しく見ていきましょう。
在留資格「法律・会計」は、法律に関する資格をもっている方が行う業務、
法律または会計に関する業務など
を、行うための在留資格です。

ここでの“法律に関する資格”は、以下のようなものが該当します。

① 行政書士
② 外国法事務弁護士
③ 外国公認会計士
④ 弁護士
⑤ 司法書士
⑥ 土地家屋調査士
⑦ 公認会計士
⑧ 税理士
⑨ 社会保険労務士
⑩ 弁理士
⑪ 海事代理士

在留期間は、5年、3年、1年、3ヶ月のいずれかです。
更新は可能であり、長く滞在し続ければ永住者の申請が可能になります。
上記に該当する資格を持っており、各士業の団体(弁護士会や行政書士会)へ登録済みであれば
・独立して開業
・会計事務所や法律事務所に雇用され、各資格に許可された独占業務を行う
などが可能となります。
また独立して事務所を開業する場合の在留資格は、「経営・管理」ではなく、「法律・会計」が適用されます。

【補足】外国法事務弁護士、外国公認会計士について

上記の2つは、耳慣れない資格だと思いますので、
ここで補足として解説します。

○ 外国法事務弁護士

外国法事務弁護士は、自分が資格を有する国(原資格国)の法律と一定条件の下で
日本以外の第三国の法律(指定法等)事務を行うことを業務とします。
法務大臣が外国法事務弁護士となる資格を承認し、日本弁護士連合会に備える名簿に登録しなければならず、その登録は日本弁護士連合会が行います。

渉外的要素を有する法律事務については、日本の弁護士と共同して事業を営むことができますが、
日本の弁護士資格がないため、
・日本の裁判所で訴訟代理人になる
・行政庁に対する申立の代理
以上の2点はできません。

しかし、日本で行われる国際仲裁事件の手続においては、日本の法律である、外国の法律であるなどにかかわらず、日本の弁護士と同じように当事者を代理して活動することができます。

外国弁護士として承認を受けるには、外国弁護士となる資格を持っており、
かつ3年以上の実務経験があることなど、いくつかの基準を満たす必要があります。
(特措法10条1項1号ないし3号)
しかし、その基準を満たしても、相互主義(日本の弁護士に対して、承認申請者が外国弁護士の資格を取得した国において、特措法による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われているとき)がとられていないことを理由に、承認されないこともあります。
(特措法10条3項)

○ 外国公認会計士

外国公認会計士は、
各国において日本の公認会計士に相当する資格を持つ者が内閣総理大臣による資格の承認を受け、
かつ、日本公認会計士協会による外国公認会計士名簿への登録を受けることによって業務を行うことができる会計士のことです。

取得のための要件

① 11種類の資格のうち、いずれかの有資格者であること
② 独占業務を行うために必要な、各資格の団体に登録していること
③ 当該資格で許可された独占業務を行うこと

申請する外国人が当該資格を持っており、各士業の団体に登録していることが必要です。
もし日本の司法試験などに合格していても、独占業務を行うためには各資格別の団体(弁護士会や日本公認会計士協会など)に登録する必要があります。
また、それぞれの資格での独占業務を行わない場合は、
一般企業などの財務部勤務のような場合にも、法律・会計業務ビザには該当しません。

入国・在留資格の許可を得るためのポイント7つ

外国人労働者が日本で滞在・就労するには、
「日本に滞在することが適当である」ということを認められ、法務大臣による許可を得る必要があります。
許可を得るための基準は、
申請者の行う活動・在留状況・経済的能力・日本に入国させても大丈夫であるか等により
総合的に判断されます。
そのために以下の7点を押さえましょう。

1. 申請者が行う活動が特定の在留資格に該当しており、申請人を招き入れる者(招へい人)が日本国内にいること。

入管庁は
・申請者が日本に来るための具体的な理由や目的が明確であること
・取得したい在留資格の要件を満たしていること
この両方を認めた場合に、在留資格を許可します。
申請人が日本に滞在する必要や意思が認められない場合は、在留資格の許可はおりません。
複数の在留資格を申請することはできません。

また、申請者は、日本の招へい人を通じて在留許可の申請を行います。
招へい人がいない場合は、在留資格の申請はできません。

【補足】 招へい人とは

招へい人とは
一般的には、日本で就労・長期滞在したい外国人を日本へ呼び寄せる企業や個人のことを意味します。
スポンサーと呼ばれることもあります。
申請者の来日や日本での滞在を、経済的に支援するわけではありません。
この招へい人が代理人として認定申請書へ署名し、入管へ在留資格を申請します。

在留資格の認定申請は、行政書士の有資格者が代理申請する場合でも、
申請者の外国人本人、もしくは招へい人が日本にいなければ提出することはできません。
行政書士は申請する上で必要なアドバイスや、書類の準備・作成は行うことができます。
しかし、招へい人や代理人として申請書に署名することは許可されていません。
申請者本人が会社等を設立し、その会社が招へい人となる場合は
その会社に共同経営者や従業員がいなければ、認定申請時には外国人本人が日本に短期滞在で入国し、その滞在期間中に申請書へ署名し、申請する必要があります。

申請希望者が海外在住の外国人であり、
・日本で事業を始めたい
・新規に会社を設立して経営活動を行いたい
と考えている方には、事業形態や会社の詳細から先に決めます。
事業を行う事務所を確保すること、法人登記などは、認定申請より先に行います。
新設会社の場合であり、まだ日本に代表者や従業員がいない場合、招へい人がいない場合は、
申請者自身が短期滞在で日本に来日し、先に認定申請を行います。

2. 申請者が、該当する在留資格の要件を満たしていること。

在留資格を申請する際、
・申請者が日本で行う活動が特定の在留資格に該当している
・当該在留資格取得に必要な要件を満たしていること
これらを書類で証明します。

入管庁は基本的な必要書類を開示しています。
ですが、場合によっては申請者ごとの状況に応じた書類の提出を求められることがあります。
なぜなら、同一の在留資格を申請する方の中でも、
個人のバックグラウンドや日本の活動内容、招へい人などの詳細がそれぞれ異なっているためです。
書類を準備する際には、母国ごとに制度、規則、書式が異なることを理解し、適切に進めていくことが重要です。

3. 素行が不良でないこと

日本での外国人労働者の不法就労、失踪などは長年問題視されています。
このような事例があるため、
申請者である外国人の素行が良好でない場合は、消極的な評価がされます。
具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分をうけた行為、不法就労をあっせんする行為
などを行った場合は、素行が不良だと判断されます。

4. 独立して生計を維持できる資産・技能を持っていること

申請者が日本で生活する上で、公共に負担をかけることのない資産・技能(日本語能力など)の状況であり、
また将来的にも十分安定した生活が見込まれることが求められます。
もし公共の負担となっている場合であっても、在留を認めるべきだと判断できる理由がある場合は、在留資格を維持できることもあります。

5. 雇用・労働条件が適正であること

この項目に関しては、事業者などの招へい人の方が満たすべきものといえます。
日本での就労には、社員・アルバイトなどの立場を問わず、その雇用・労働条件が、労働関係法規に適合している必要があります。

労働関係法規違反により勧告等が行われたことが、申請者の就労開始後に判明した場合には、
申請者である外国人には非がないため、その点を考慮して判断されます。

6. 納税義務を履行していること

申請者に納税義務がある場合は、適切に納税することが求められます。
納税義務の不履行により刑を受けている場合、高額・長期間の未納がある場合などには、
在留資格許可の判断への消極的な要素とされます。

7. 入管法に基づいた届出等の義務を履行していること

在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人(在留カードが交付される方)は、
在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出など
入管法で定められている義務を履行していることが必要です。

在留資格認定証明書交付申請について

必要な書類

① 在留資格認定証明書交付申請書
地方出入国在留管理官署にて用紙が用意されています。
出入国在留管理庁のホームページから取得することもできます。

② 写真(縦4cm×横3cm)
申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なものを用意します。
写真の裏面に申請人の氏名を記載し、申請書の写真欄に貼り付けます。

③ 返信用封筒
定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼り付けたものを用意します。

④ パスポートのIDページコピー

⑤ 申請人が次のいずれかの日本の資格を有することを証明する文書(免許書,証明書等の写し)
(1) 弁護士
(2) 司法書士
(3) 土地家屋調査士
(4) 外国法事務弁護士
(5) 公認会計士
(6) 外国公認会計士
(7) 税理士
(8) 社会保険労務士
(9) 弁理士
(10) 海事代理士
(11) 行政書士

ここでの申請人とは、日本への入国・在留を希望している外国人の方のことです。
また、日本で発行される証明書は全て、発行日から3ヶ月以内のものを提出してください。

その他注意点は、以下の3点です。
1. 提出資料が外国語で作成されている場合には、訳文(日本語)を添付します。
2. 在留資格認定証明書上の氏名と、旅券(パスポート)上の氏名の表記が異なる場合は
入国までの各手続きにおいて確認を行う等により、手続きに時間を要する場合があります。
なので、提出が可能な場合には申請時に旅券(パスポート)の写しをあわせて提出します。
3. 原則として。提出された資料は返却されません。
再度入手することが困難な資料の原本等の返却を希望する場合は、申請時に申し出ましょう。

【補足】 在留資格の変更・更新時の必要書類

日本へ入国し就労したのち、さらに長期にわたって日本に滞在することになった場合は
在留資格の更新が必要になります。
また、仕事の内容の変化によっては在留資格の変更が必要になることもあります。
この場合、提出物が少し変わりますので、ここで確認しておきましょう。

【変更許可申請時の提出物】
① 在留資格変更許可申請書
② 写真(縦4cm×横3cm)
③ パスポート及び在留カード
④ 入管所定の葉書
⑤ 申請人が次のいずれかの日本の資格を有することを証明する文書(免許書,証明書等の写し)

【更新許可申請時の提出物】
① 在留期間更新許可申請書
② 写真(縦4cm×横3cm)
③ パスポートおよび在留カード
④ 入管所定の葉書

申請の流れ

1. 申請書類の作成、その他必要書類を揃えます。

2. 出入国在留管理局へ申請し、前述した書類を提出します。

3. 結果の通知
申請時に出入国在留管理局に提出した封筒、またはハガキで結果の通知が届きます。

4. 出入国在留管理局にて手続き
在留資格認定証明書交付申請の場合は、手続きは不要です。

在留資格変更許可申請と在留期間更新許可申請の場合は、
出入国在留管理局にて収入印紙を購入し、受領サインをします。

まとめ

今回は、在留資格「法律・会計」について解説しました。
この在留資格で働くためには、資格の保持、団体への登録、独占業務を行うことなど
押さえておくべきことがあります。
特に資格の証明は重要な部分ですので、必ず漏れがないようにすることが必要です。

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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