全般

在留資格「経営・管理」には
いったい、どのような外国人労働者が該当するかご存じでしょうか?
「経営」や「管理」などのワードは意味の捉え方が多く、具体的な想像がしにくいですよね。

そこでこの記事では、在留資格「経営・管理」について詳しく解説します。
いったいどのような外国人労働者が在留資格「経営・管理」を取得できるのか
また、取得するための提出資料や、要件まで解説します。

在留資格「経営・管理」とは?

在留資格「経営・管理」は、外国人は日本国内で事業を起こし、
その経営または管理に従事する場合に取得できる在留資格です。

具体例としては、以下の4パターンが挙げられます。
① 外国人が、日本で会社を設立し、経営者になるとき
② 外国人が、既存の日本国内にある会社の代表になるとき
③ 外国人が、既存の日本国内の会社の管理職になるとき
④ 外国人が、日本の会社の経営権を取得し、その会社の経営・管理を行うとき

前提としては、在留資格「経営・管理」を持つ外国人が『事業の経営・管理に実質的に参画していること』が挙げられます。
すなわち、事業の運営についての重要事項の決定、事業の執行、監査の業務に従事する活動を行っていることが必要です。

共同で事業を起こした複数の外国人がそれぞれ役員に就く場合は、
それぞれの外国人が従事する活動の『具体的な内容』から、在留資格「経営・管理」への
該当性と上陸基準適合性が審査されます。

『該当する or しない』の基準

在留資格「経営・管理」とその他の在留資格との違いは、業務内容が具体的に決められていない点です。
そのため、在留資格「経営・管理」に該当するかどうかの基準があいまいです。

「経営・管理」の業務にあたるかどうかを判断する基準は大きく分けると、以下の3点にまとめられます。

① 事業の規模や業務量等の状況から判断し、当該外国人が事業の経営または管理を行うことについて合理的な理由が認められること
② 事業の経営または管理に係る業務について、当該外国人それぞれが従事する業務の内容が明確になっていること
③ 当該外国人が経営または管理に係る業務の対価として相当の報酬額の支払いを受けることとなっていること

以上の3点の基準が満たされている場合は、当該外国人について、在留資格「経営・管理」に該当するとの判断が可能とされています。

在留資格「経営・管理」に該当する活動は、事業の経営又は管理に実質的に参画する者としての活動です。
そのため、役員に就任しているだけでは、在留資格「経営・管理」に該当しているとは見なされません。
また、複数の外国人が事業の経営または管理に従事する場合、
それぞれの外国人の活動が在留資格「経営・管理」に該当すると見なされるには、
事業の規模, 業務量, 売上などの状況を考慮した上で、事業の経営または管理を複数の外国人が行う合理的な理由があるものと認められる必要があります。
実際には、従事する業務の具体的な内容、役員として支払われる報酬額等を考慮し、業務に就く外国人が行う活動が事業の経営・管理に当たるものであるか否かが判断されます。

在留資格「経営・管理」取得までの要件 4項目

1. 日本国内に事業所がある

経営する事務所等は必ず日本国内に既にある、もしくは確保されている必要があります。
また、行う事業に適している事業所を確保するようにしましょう。

総務省統計局によると、事業所の定義は以下の2点です。
1) 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
2) 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること。

また、出入国在留管理庁の『外国人経営者の在留資格基準の明確化について(令和2年8月改定)』において、
在留資格「経営・管理」の事業所の確保についての基準が、もう少し厳しく決められています。

「経営・管理」の活動は、事業が継続的に運営されることが求められます。
そのため、上記の2点を満たしていても、
・月単位の短期間賃貸スペース等を利用
・容易に処分可能な屋台等を利用
などの場合は、基準省令の要件に適合しているとは認められません。
事業所については、賃貸物件が一般的であるところ、
当該物件に係る賃貸借契約においてその使用目的を事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにし、賃貸借契約者についても当該法人等の名義を使用し、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要とされます

2. 日本に住む常勤従業員2名以上を雇用、または500万円以上の出資

ここでの「常勤従業員」とは、
日本人、永住者、特別永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者などが該当します。
これらに該当する従業員を2名以上雇用する必要があります。

また500万円以上の資本金は、借入によるものでも可能ですが、近年は借入に伴う審査が厳しいです。
資金を準備するまでの詳細な説明も必要とされており、一時的に500万円以上準備できるだけでは認められないこともあります。

3. 事業の経営、または管理の経験が3年以上あり、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

3年以上の実務経験が必要です。大学院などで経営または管理に関わる科目を専攻した期間も含めることができます。
報酬に関しては、日本人と同等額以上の報酬が求められます。月収約20万円以上が目安とされています。

4. 事業が安定して継続できると客観的に認められること

事業計画書の中で、継続性・安定性があることを証明する必要があります。

提出資料を知るための『4つの区分(カテゴリー1〜4)』

在留資格「経営・管理」により日本の企業で働く際、どのような期間で働くかによってカテゴリー分けがされます。
また、どのカテゴリーの企業で働くかにより、提出する資料が異なるため、
あなたの会社がどのカテゴリーに分類されるかを把握しておく必要があります。

カテゴリー分けは全部で4つあり、以下のように分けられています。

カテゴリー1

以下のいずれかに該当する機関です。

(1) 日本の証券取引所に上場している企業
(2) 保険業を営む相互会社
(3) 外国の国又は地方公共団体
(4) 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
(5)高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業(イノベーション創出企業)
イ: 日本の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導または教育をする活動
ロ: 日本の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学、または人文科学の分野に属する知識、または技術を要する業務に従事する活動

(6)以下の条件のいずれかを満たす企業等(令和4年5月現在)

1) 厚生労働省が所管する「ユースエール認定制度」において、都道府県労働局長から「ユースエール認定企業」として認定を受けているもの。
2) 厚生労働省が所管する「くるみん認定制度」、「プラチナくるみん認定制度」 において、都道府県労働長から「くるみん認定企業」、「プラチナくるみん認定企業」として認定を受けているもの。
3) 厚生労働省が所管する「えるぼし認定制度」、「プラチナえるぼし認定制度令和2年6月施行」」において、都道府県労働局長から「えるぼし認定企業」、「プラチナえるぼし認定企業」として認定を受けているもの。
4) 厚生労働省が所管する「安全衛生優良企業公表制度」において、都道府県労働局長から「安全衛生優良企業」として認定を受けているもの。
5) 厚生労働省が所管する「職業紹介優良事業者認定制度」において、指定審査認定機関から「職業紹介優良事業者」として認定を受けているもの。
6) 厚生労働省が所管する「製造請負優良適正事業者認定制度(GJ認定)」において、指定審査機関から「製造請負優良適正事業者」として認定を受けているもの。
7)  厚生労働省が所管する「優良派遣事業者認定制度」において、指定審査認定機関から「優良派遣事業者」として認定を受けているもの。
8) 経済産業省が所管する「健康経営優良法人認定制度」において、日本健康会議から「健康経営優良法人」として認定を受けているもの。
9) 経済産業省が所管する「地域未来牽引企業制度」において、経済産業大臣から「地域未来牽引企業」として選定を受けているもの。
10) 国土交通省が所管する「空港における構内の営業承認制度」において、地方航空局長又は空港事務所長から「空港管理規則上の第一類構内営業者又は第二類構内営業者」として承認を受けているもの。
11) 消費者庁が所管する「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)」において、内部通報制度認証事務局(※)から「内部通報制度認証(自己適合宣言 登録制度)登録事業者」として登録を受けているもの。
[※ 消費者庁指定登録機関(公益財団法人商事法務研究会)内におかれるもの]

カテゴリー2

次のいずれかに該当する機関です。

(1) 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
(2) 在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関

カテゴリー3

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー4

カテゴリー1〜3のいずれにも該当しない団体・個人

カテゴリー別の提出資料

全カテゴリー共通の提出資料

【1】 在留資格認定証明書交付申請書 1通
※地方出入国在留管理官署にて、用紙が用意されています。また、出入国在留管理庁のホームページから取得することもできます。

【2】 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
※申請前3か月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なもの。
※写真の裏面に申請人の氏名を記載し、申請書の写真欄に貼付してください。

【3】 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通

【4】 上記カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書 適宜

・四季報の写し、または日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
・高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(例えば,補助金交付決定通知書の写し)
・上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例えば,認定証等の写し)

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
・在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

カテゴリー3,4の企業の提出資料

カテゴリー3,4に該当する企業は上記の共通で必要な提出資料4つに加えて、以下の提出資料が必要です。

【5】 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
(1) 日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写しまたは役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通

(2) 外国法人内の日本支店に転勤する場合および会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書(派遣状,異動通知書等) 1通

(3) 日本において管理者として雇用される場合
労働基準法第15条第1項および同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書(雇用契約書等) 1通

【6】 日本において管理者として雇用される場合、事業の経営または管理について3年以上の経験(大学院において経営または管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有することを証する文書

(1) 関連する職務に従事した機関並びに活動の内容および期間を明示した履歴書 1通
(2) 関連する職務に従事した期間を証明する文書(大学院において経営または管理に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通

【7】 事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
(1) 当該事業を法人において行う場合には,当該法人の登記事項証明書の写し(法人の登記が完了していないときは、定款その他法人において当該事業を開始しようとしていることを明らかにする書類の写し)1通
※日本で法人を設立する場合と、外国法人の支店を日本に設置する場合との別は問いません。

(2) 勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通

(3) その他の勤務先等の作成した上記(2)に準ずる文書 1通

【8】 事業規模を明らかにする次のいずれかの資料
(1) 常勤の職員が2人以上であることを明らかにする当該職員に係る賃金支払に関する文書、および住民票その他の資料

(2) 登記事項証明書 1通
※【7】(1)で提出していれば提出不要です。

(3)その他事業の規模を明らかにする資料 1通

【9】 事務所用施設の存在を明らかにする資料
(1) 不動産登記簿謄本 1通
(2) 賃貸借契約書 1通
(3) その他の資料 1通

【10】 事業計画書の写し 1通

【11】 直近の年度の決算文書の写し 1通

カテゴリー4の企業の提出資料

上記までの11項目に加えて、もう1種類だけ提出資料が必要です。

【12】 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料

(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通

(2)上記(1)を除く機関の場合
ア: 給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通
イ: 次のいずれかの資料
・直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) 1通
・納期の特例を受けている場合は,その承認を受けていることを明らかにする資料 1通

まとめ

今回は、在留資格「経営・管理」について解説しました。
この在留資格で働くためには、事業所の確保や指定の従業員数など、決められていることがあります。
しっかりと把握しておきましょう!

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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