技能実習生の入国後講習施設「関東研修センター」について、センター長の藤原 伸之様にインタビューさせていただきました。主な質問内容として、「どんな事業をしているか」「生徒数について」「コロナの影響」「なぜ今の仕事を始めたのか」「今の仕事で良かったこと・苦労したこと」「成功事例」「将来の展望」「アピールポイント」などの切り口から、関東研修センターについてお話しいただきます。

関東研修センターはどんな事業をしていますか?

藤原:外国人技能実習生向けの入国後講習をおこなっています。技能実習生は日本に来て、一般的に1ヶ月から2ヶ月の講習をしないといけないと決められています(技能実習制度運用要領 https://www.otit.go.jp/jissyu_unyou/)。センターでは、技能実習の監理団体である協同組合様等から委託されて日本語講習を行っております。

それと共に、講習だけではなくて宿泊も兼ねてオーダーを受けることもあります。センターには宿泊施設もありますので、実習生は1ヶ月程度滞在しながら、昼間は日本語講習や、日本の生活習慣を学ぶという、いわば住み込みのスタイルでの講習も行っています。

あとは、こちらも協同組合様からのオーダーがあれば、Zoom(テレビ・Web会議ツール)を使ったパソコン、スマートフォンでの講習も行っています。

Zoomを使った講習の一般的なケースとしましては、コロナ禍において、外国人技能実習生は日本に来た時に2週間待機をしないといけないということになっています。実習生は一時的にビジネスホテルなどに宿泊することになりますが、その待機期間(レジデンストラック)をうまく活用して、昼間は実習生が母国から持ってきたスマートフォンを使って授業を受けるというスタイルです。わたしどものセンターの講師がパソコンを使って授業を配信し、実習生がオンラインで受講します。

2週間のオンライン講習のあと、関東研修センターに入寮する実習生もいらっしゃいますし、引き続きプラス2週間の合計4週間、Zoomで講習を受けられる実習生もいます。

関東研修センターの生徒数はどのくらいですか?

藤原:千葉県の茂原市と松戸市の2校舎がありますので、合わせたら150人ぐらいいる時もあります。決まったこの日にまとまって入寮してくる、というものではなく、例えば今日10人来て、明日3人来て、明後日6人来るということもございますので、一定人数が決まったペースで入寮してくるということはないです。

コロナの影響はありますか?

藤原:先程申し上げた通り、Zoomを使ってのオンライン講習が増えています。センターに来ないで、オンラインだけで講習をしていくということも多いですね。

コロナの影響で一時は生徒数も減りましたが、最近何ヶ月かは急激に増えています。要するに、今年の春から秋にかけての6ヶ月間は実習生が全然入国できない状態だったので、その時期に来るはずだった実習生も含めて、コロナの入国制限が終わった後に一気に来日しているため、結果コロナ前以上の人数になった感じです。

コロナの影響からオンライン講習が増えているのですか?

藤原:コロナの影響からオンライン講習のパーセンテージが増えていますね。というより、そもそもコロナの前にはオンライン講習はありませんでした。実習生が来日したときに2週間の隔離措置が必要ということになり、その時間を有効に活用できないかということで、ではその期間にZoomを使って入国後講習をやろうということになり、オンラインでの入国後講習をはじめました。
当初は講師も無人の教室でパソコンに向かって話をするという状況に戸惑いがあったようですが、画面の向こうにいる実習生たちの顔がモニターで見れますし、実際に双方で会話のやり取りもできることもあって、徐々に慣れていったようです。
ただ、わたしたちはやっぱり日本語だけではなくて、日本語を勉強する時のモチベーションを高めるということも重要視してやっていますので、そのあたりはZoomではなかなか伝えきれない部分ではあります。

研修センターでは、講習時間以外にも実習生のマナーなどを常にチェックしており、挨拶ひとつとっても日本の会社でそんな挨拶したら怒られるぞ、みたいなこともあるので、こういうのはオンライン講習では伝えづらいですよね。

あとは、日頃の態度ですとか、スリッパの揃え方とか、物の受け渡しを「片手で渡す」のか「両手で渡す」のかとか、そういうことも日本で生活していく上で大切なことじゃないですか。これらはリアルじゃないとなかなか教えることができないですね。1回言っただけでは実習生はなかなか理解できないこともあるので、何回も何回も指導しています。ほかにも、名札をちゃんとつけるとか、靴下をちゃんと履くとか、そういうのも実際の対面じゃないとできないことなので、このあたりはオンライン講習だけだと難しいですね。

また、実習生のモチベーションを上手く高めるというのは、わたしもセンターでの経験が長いので、すべての学生に対してモチベーション調節をやっております。ゴミの分別とかの細かいこともリアルに教えて、間違えてもまた教えてあげて最終的に「あーそうなんだ、こっちに捨てるんだ」って実習生が自分で気づくように動機づけをしています。

もう1つは積極性ですね。実習生は指示待ちじゃなくて、例えば「先生この掃除終わりました。次は何をすればいいですか」と言える実習生を育てていきたいので、そういうことまで指導していくのは、Zoom越しではちょっと難しいとは感じますね。

藤原様は今の仕事をなぜ始められたのですか?

藤原:もともと中国に造詣が深く、中国に留学していた経緯もありまして、何か中国語を使った仕事をしたいと思うようになり、技能実習生教育の仕事に携わるようになりました。最初は岡山の会社に就職しまして、9年間そこで働いたんですけれど、その間は中国語を使った技能実習生の教育に携わっていました。

中国とか、外国が大好きで、外国人の方と接する仕事が好きなこともあり、この仕事を選んだ理由っていうのがそこにあります。

藤原様が今の仕事をしていて良かったことはありますか?

藤原:沢山あるんですけど、そうですね、この仕事っていうのは結構、短期決戦なんですね。講習期間は基本的に1ヶ月なので、実習生の日本語をその短期間でどこまで伸ばすかっていうのが面白いとこではあります。短い期間で最大の結果を残すということに、仕事をしていて良かったというか、仕事の面白みを感じています。

センターに入寮してからの技能実習生の成長結果が良くて、配属先の会社様からの良い評価と、協同組合様からの良い評価をもらうと、やっぱりやっていて良かったなと感じますね。

入国後講習は日本語教育だけじゃなくて、例えるなら住み込みの新入社員研修という感じもあるので、態度とか、挨拶とか、礼儀とかですね、そこら辺も大切になってきます。来日したときはあんまり態度も良くなかった技能実習生が、研修センターから出るときはちゃんと挨拶ができるようになっていると、この仕事をしていてよかったなと改めて感じたりしますね。

藤原様が今の仕事で苦労したことはありますか?

藤原:1か月の教育で、実習生が毎月100人ぐらいセンターに来るんですけれど、こちらが考えてるその1ヶ月後のゴールと、現状が乖離してる場合ですかね。日々講習をおこない日本語や日々の態度を教えていきますが、実習生の日本語も態度も、思ったように伸びていかない時がやっぱり一番苦労します。

もちろんそこで諦めるなんてことはせず、実習生がなかなか伸びない時は、実習生を個別に呼んで足りないところを補っていきます。やっぱり人間ですからいろんな性格をもってるんですね。その性格に合わせながら、叱咤激励するだとか、優しく語りかけるだとか、いろんな方法があるんですね。

基本的に、実習生をひとまとめにすることはせず、本人に合わせた指導をしてます。わたしは17年間この仕事をしていますので、この人はどのような声をかけたらいいかっていうのは大体分かりますね。

関東研修センターでの成功事例はありますか?

藤原:連携を取るっていうのが大切なんですけど、入国入寮の前に協同組合様からですね、簡単に言うと通知簿みたいな実習生ひとりひとりの評価表がきます。評価表では、この実習生はどういう風な性格しているとか、日本語能力がどのぐらいであるとか、ここを伸ばして欲しい、あそこを伸ばして欲しいっていう要望がありますので、要望通りに協同組合様や企業様が満足できるような教育ができた時は成功といっていいんじゃないかなと思います。

要するに、入国前の評価はあまり芳しくなかったんですけど、研修センターを出る時の評価は顧客が思い浮かべる以上の結果を出せるような実習生に育て上げられたっていうのが成功事例だと思って日々取り組んでいます。

関東研修センターの将来の展望はありますか?

藤原:実は実習生が日本に入国する前に講習というのは、3ヶ月から6ヶ月ぐらいあるんですね。ほとんどは海外現地で行われて、わたしたちが受け持てるのは最後の1ヶ月だけなんです。その1ヶ月の講習を受けたら企業様に配属となります。

そして、企業様に配属されて実習を行う上で、一番大切なのは事前の教育なんですね。日本に来る前の教育が長いので、入国前の教育と、入国後のわたしたちの教育をすり合わせて、どこまで何をどういうことを勉強してくるかをちゃんと決めてですね、何をどのぐらいのボリュームで勉強してくるかっていうのをすり合わせすることが大切だと思います。

そうすることで、役割分担すれば日本での1ヶ月についてわたしたちが、どういう風な教育、講習をするべきかっていうのが出てきますので、そこらへんを合わせることで、よりレベルの高い実習生を育てることができるのかなと思います。

今はいろんな国、例えばベトナム・インドネシア・モンゴル・タイから実習生が来るんですけど、勉強した内容とか期間とかはみなバラバラなんです。ですから、日本に入ってからの1ヶ月の教育というのは、入寮したときの日本語レベルの個人差があるので、実は非常に難しいですね。

なので、実習生の日本語教育について何が必要なのかを一度整理してですね、実習生にとってどのような日本語が必要っていうのかはわたしたちが一番熟知してますので、わたしたちがもっているスキルとか財産とかを、送出機関とうまく連携し、伝授して教育することが大切かなと思ってます。

そこまでやっていけば、関東研修センターの評価も上がりますので競合他社と比べて優位性を保てるんじゃないかなと思います。そこまでされている研修センターはあんまり聞いたことがないので、そこができればアドバンテージもすごい高まっていくんじゃないかなと思います。

関東研修センターのアピールポイントについて教えてください

新型コロナウィルス感染拡大防止策をしっかり行なっている

藤原:今はとにかくコロナ対策を徹底して行っています。まず、入寮前の実習生にはPCR検査か抗原検査を受診してもらっています。実習生が使う食器や机やドアノブなども全て毎日消毒しています。授業と授業の合間には教室を換気し、教室での席順も基本的に固定にして、同じ場所に同じ実習生が座るようにしています。毎日、検温もしています。検温は実習生だけでなく、職員や講師もおこなっています。後は食事の買い出しなども実習生みんなで行くとリスクが高まりますので、交代制で買い物に行ったりします。研修センターでの一ヶ月は基本的に集団生活ですので、感染防止対策はとにかく徹底しておこなっています。

リアルな形で日本語を習得できる環境を整える

藤原:わたしたちの責務として今までやってきたことは、現場でいかに日本語で日本人が話している指示を聞き取れるかっていうことなんですね。実習生は工場に行って「これやってくれ」って言われますよね。その時に聞き取れないと実習が困難になります。そうならないために、まずわたしたちが行ったのは、実習現場でどのような日本語が使われているのかっていうことを、いろんな実習現場に行って研究するということでした。

実習生の核となる一番大切な日本語っていうのは、動詞と副詞なんですね。ちょっと難しい話になってくるんですけど、動詞は、例えば「取る」とか「食べる」「寝る」っていうのは動詞なんですね。あとは、実習現場でよく使う「重ねる」とか「どかす」とか「持っていく」とかそういう言葉を、実習先200社ほどでアンケートを取りました。どんな言葉をどのくらい使いますかという言葉の聞き取り調査とアンケートをとり、実際の実習現場で使える生きた日本語を教えています。

使用頻度が高い日本語を1ヶ月間、特に集中して実習生に教えることで実践の聞き取りの能力も高まって、現場ではより高度な作業ができるようになります。なんでもかんでも教えるっていうわけじゃなくて、どのような日本語を教えれば実習で意味があり効率がいいのかっていうのを、わたしたちは日々考えて講習をしています。

わたしたちは技能実習の日本語の専門機関ですから、留学生の教育とは違うんですね。留学生は日本に来て勉強するのが目的ですが、技能実習生は文字通り技能実習をおこなうのが目的です。わたしたちはそのあたりを履き違えることなく、しっかり技能実習生に合わせた教育をしています。

まとめ

技能実習生の入国後講習施設「関東研修センター」のセンター長の藤原 伸之様は、技能実習生に対して真摯に対応されており優良な研修センターだとインタビューを通して感じました。

これから技能実習生の入国後研修について検討されている場合は、関東研修センターに相談されるのも1つの選択肢になるのではないかと思います。

関東研修センターの基本情報

詳細情報やお問い合わせ先は以下のリンク先ページにてご確認ください。

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