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技能実習制度

この記事では、「技能実習生の帰国」に関することを解説しています。
技能実習生の帰国時に必要な手続きや、帰国が困難になった実習生の対応方法を知ることができます。
技能実習制度の運用は、実習生を本国へ帰すことも大事なシークエンスです。
ぜひ、把握しておきましょう。

技能実習法で規定されている帰国

技能実習生は、技能実習2号の実習期間が終了すると原則として帰国することになっています。
3号に移行する場合でも、定められたタイミングで1ヶ月以上帰国します。
この帰国は技能実習法で定められている帰国です。
帰国に必要な費用は、実習実施者が負担します。

帰国に向けての日程調整

技能実習生が帰国すべきタイミング(退職または一時帰国)が近づいてくる頃に、帰国日の日程調整を行います。
この日程は、技能実習生・受入れ企業・監理団体の三者によって決めます。
帰国日が決まれば、監理団体が航空券を準備します。

では次に、帰国時に必要な手続きを見ていきましょう。

帰国時に必要な手続き

退職時

社内での手続き

退職時に社内で行う手続きは以下の6項目です。

◯ 給与の計算
技能実習生に支払う最後の給料の計算です。
最後の給料は前もって計算を行い、帰国日までに支払います。
給料日前に帰国する実習生は銀行口座を解約するため、最後の給料だけは現金で支払います。

◯ 有給休暇の消化
技能実習生の有給休暇の処理についてです。

有給休暇は実習期間内で消化をすることをオススメします。

◯ 年末調整の実施
技能実習生が年の途中で帰国する場合は、12月を待たずに最後の賃金で年末調整を行い、所得税を清算します。

◯ 社会保険喪失手続き
技能実習生は、厚生年金脱退一時金の受給対象です。
よって、社会保険喪失手続きや年金手帳(脱退一時金の申請時に使用したもの)を返却します。

脱退一時金とは、日本国内の会社で6ヶ月以上働いたことのある外国人を対象に支払われる、厚生年金保険による一時金です。外国人が日本を出国後(2年以内)に請求すれば厚生年金保険に加入していた期間に応じた一時金が支払われます。
これにより、日本に短期滞在する外国人の保険料の掛け捨てを防ぐことができます。

◯ 実習生に貸与していた備品の回収
健康保険証や社員証などを退職時に回収します。実習実施者にて貸与していた工具類などの備品があれば、それらも回収します。

◯ 住民税の清算
住民税は前年の所得金額に応じて後納で分割払いします。そのため、技能実習生が帰国するタイミングによっては納税が残っている場合があります。
前もって管轄の市役所に問合せを行い、確認しておきましょう。
必ず帰国前に清算しなければいけません。清算方法については、監理団体との相談で決めます。

社外での手続き

退職時に社外で行う手続きは以下の4項目です。

◯ 市区町村への転出届
技能実習生が帰国する際、住民登録を行った市区町村へ転出届を提出します。

『社内での手続き』の『社会保険喪失手続き』にて前述した厚生年金脱退一時金の受給要件には、「日本国内に住所を有していない方」という項目があります。そのため、転出届を提出しなければ、脱退一時金の還付が通常より遅くなる可能性があるため、注意が必要です。

◯ 公共職業安定所(ハローワーク)への届出
外国人労働者が被雇用者になる、または離職する際、当該外国人労働者の在留資格や在留期間等についての情報を管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ提出します。
よって帰国の際には、公共職業安定所(ハローワーク)へ、必要な情報・資料を提出します。
退職日の翌日から起算して10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届と併せて必要事項を提出します。

◯ 銀行口座の解約
最終の給与支給を行い、技能実習生が給料を引き出した後、銀行口座は必ず解約するようにしましょう。
銀行口座を解約せずに残したままにすると、悪用される恐れがあるためです。

◯ 通信サービスの解約
技能実習生が個人で契約している携帯電話やインターネット等の通信サービスの契約を解約しましょう。
解約しないまま帰国してしまうと、帰国後に料金が発生し、受け入れ企業が負担させられてしまうケースがあります。帰国する技能実習生には必ず、月額サービス等の契約を解除させるように促しておきましょう。

本人の申し出により一時帰国する場合

技能実習生の個人的な理由(身内の不幸など)により、実習期間中に一時帰国する場合があります。
このような場合はもちろん、できるだけ実習生の希望に沿う形で一時帰国の手配を進めます。
休暇の扱いについては、有給休暇や忌引きなどの扱いとなることが多いです。

技能実習生が一時帰国を希望する場合は、監理団体に必ず報告します。
一時帰国で必要な航空券については、原則監理団体が取得手続きを行います。ですが、急を要する場合は実習実施者が手配のフォローをすることもあります。

ただし、長期にわたる休暇となる場合(1か月のうちの80時間以上実習を行わない場合)は、技能実習計画に影響が出る可能性があるため、計画を変更する必要があります。

技能実習が困難となり途中帰国する場合

技能実習の継続が困難になる場合があります。

・実習期間中の病気やケガにより実習の継続が困難になってしまう
・また実習実施者が倒産等で実習の継続が困難になり、さらに次の実習実施先が見つからない
などが主なケースです。

このような場合には、実習実施者と監理団体が手続きを行います。

実習実施者が行う手続きは、技能実習法で定められている帰国時の退職手続きと同じです。

また監理団体が、
当初の計画の実施が困難になったことを届出るための「技能実習困難時届出書」を、外国人技能実習機構に提出します。

技能実習が困難な方のための制度

技能実習生として働く外国人労働者は、日本の労働関係法令により、法的に保護されています。
実習実施者が休業した場合、解雇された場合、次の仕事を探すまでの間に、
技能実習生が利用できる制度があります。
対象となる技能実習生にはぜひ利用を促すようお願い致します。

【制度の概要】雇用保険の給付

労働者が失業し、次の仕事を探すまでの期間、生活の安定を図るために必要な給付を行います。
以下の対象者に当てはまれば、技能実習生でも雇用保険の給付を受けることができます。

対象者となる技能実習生は以下の2通りです。

1. 技能実習の途中で解雇等され、次の就労先を探す技能実習生
2. 技能実習終了後、帰国困難であるため就労先を探す技能実習生
(※いずれの場合も、在留資格「技能実習」、「特定活動(就労不可)」および「短期滞在」の方が対象です。)

また、上記の対象者は以下の2点の条件を満たす必要があります。

1. ハローワークへ求職の申し込み
離職後に基本手当を受けるためには、ハローワークに求職の申し込みを行います。

2. 雇用保険被保険者期間が12ヶ月以上であること
離職以前の2年間で、雇用保険被保険者となった期間が12ヶ月以上あることが必要です。
ただし、実習実施者の倒産や事業の縮小などの理由で失業した場合には、離職以前1年間で、 被保険者となった期間が通算して6ヶ月以上あることが必要です。

制度利用の流れ

離職または技能実習が終了したのちの流れを解説します。

1. 求職申込と受給資格の決定
受給手続をするご本人が、必要書類をハローワークまで持参します。

2. 雇用保険説明会への参加
受給資格証明書などの必要な書類を説明会にて受け取ります。
また、雇用保険の受給手続の進め方などの説明を受けます。

3-1. 待期満了
受給手続を開始した日から、失業の状態が通算して7日間経過するまでを「待期期間」といいます。
この間は雇用保険の支給対象にはなりません。

3-2. 給付制限期間
自己都合等で退職した場合は、待期満了の翌日からさらに 3か月間基本手当は支給されません。

4. 失業の認定
認定日ごと(原則として4週に1回)に失業認定申告書を提出します。

5. 手当の支払い
失業の認定を受けた日数分の手当は、普通預金口座へ振り込まれます。

この後、実習先が変更、または就労先が決定すれば、支給は就労します。
また帰国困難であるため就労先を探していた外国人の方が就労する場合は、 在留資格を「特定活動(就労可)」に変更する必要があります。

事業活動を余儀なく縮小した会社は、一定の要件を満たした場合に受けられる雇用調整助成金という制度を使うことができます。会社で労働者を休業させる際には、上記のような助成金を積極的に活用し、休業に対する手当を支払うなど、不利益を回避する努力が求められます。
なお、労働基準法第26条では、
会社が、会社に責任のある理由で労働者を休業させた場合、 労働者の最低限の生活の保障を図るため、休業期間中、休業手当を支払わなければならないことになっています。

帰国が困難な場合の対応方法

2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大で帰国が困難になっている外国人労働者の方がいらっしゃいます。
このような方向けの対応方法を解説します。
(以下の対応方法は、2021年3月26日時点でのものです。)

従前の業務と同一業務での就労を希望する場合

帰国便の確保・本国国内の住居地への帰宅が困難な技能実習生は、以下の2パターンの在留資格変更が認められています。
1. 滞在費支弁等のための就労を希望する場合には、「特定活動(就労可) (6月)」への在留資格変更
2. 帰国できる環境が整うまでの一時的な滞在のため、「特定活動(就労不可)(6月)」(以前は「短期滞在」)への在留資格変更

1. 「特定活動(就労可) (6月)」へ在留資格変更する場合

「特定活動(就労可)(6月)」へ在留資格変更する場合についてです。
従前の実習実施者、または従前の実習実施者での就労継続が困難な場合は、新たな受入れ機関(技能実習生の受入実績のある機関に限る)との契約に基づき、在留資格「技能実習」の時の実習内容、および原則として同種の業務に従前と同等額以上の報酬で従事します。
申請に当たっては、帰国が困難であることについて合理的な理由があることなどを確認できる資料(航空便の運休や移動制限等により居住地に戻ることが困難な状況にあることが分かる資料など)、および理由書等を準備する必要があります。

2. 「特定活動(就労不可)(6月)」(以前は「短期滞在」)への在留資格変更する場合

「特定活動(就労不可)(6月)」の在留資格は、原則として就労することは認められません。
ですが、日本での生計維持が困難であると認められる場合は、資格外活動許可(1週につき28時間以内で就労が可能)を受けることができます。
帰国できる環境が整うまでの間、「短期滞在」を許可されている方も同様です。
また、予定していた技能実習を修了したものの、本国への帰国が困難である技能実習生であり、特定技能外国人の業務に必要な技能を身につけることを希望しているなど一定の要件を満たすときは、在留資格「特定活動(就労可)(最大1年)」への在留資格変更が認められます。
詳しくは、技能実習生の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署にご相談ください。

「技能実習」で従事した業務と同種の業務での受入れ先が見つからない場合

1の場合において、従前と同種の業務(「技能実習」で従事していた職種・作業)での受入れ先の確保に努めたものの、受け入れ先が見つからない場合は、従前と同種の業務に関係する業務であれば、「特定活動(就 労可)(6月)」への在留資格変更が認められます。
例えば、「技能実習」で従事した業務が
「職種: 耕種農業 作業: 施設園芸」
であった場合、
・「職種: 耕種農業 作業: 畑作・野菜,果樹」
・「職種: 畜産農業 作業: 養豚,養鶏,酪農」
の2つが関係する業務となります。

【注意】

職業安定法に基づく職業紹介事業の許可を受けずに、技能実習を終了した者と新たな受入れ機関との間での雇用契約の成立をあっせんすると、職業安定法違反となるおそれがあります。技能実習生の新たな就労先探しは慎重に進め、違反がないようにしましょう

まとめ

今回は、技能実習生の帰国について解説しました。
帰国時に必要な手続きを把握し、実習生が無事に本国に帰国できるようにしておきましょう。
また、帰国困難な実習生の対応もしていただくよう、お願い致します。

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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