全般

あなたがせっかく費用・時間をかけて受け入れた外国人技能実習生が、実習期間の途中で帰国してしまったら、ショックではありませんか?
しかし、さまざまな理由により技能実習生が帰国してしまうケースは実際にあります。

そこで今回は、技能実習生の途中帰国のケースやその対応方法について解説します。
技能実習生を受け入れるのであれば、途中帰国の可能性は視野に入れておいた方が安全です。
『再入国許可申請』など、事前に知っておくべき、済ませておくべき手続きもありますので、必ずお読みください。

どのような場合に、実習生が帰国するのか?

まずは、技能実習生が帰国するケースを知りましょう。
この記事で解説するケースは、以下の4つです。

1. 技能実習法に基づく帰国
技能実習期間中には、必ず母国に帰国しなければならないタイミングがあります。
これは技能実習法で定められていることなので、受入機関の意向に関わらず、必ず帰国しなければいけません。

2. 実習継続が困難となり、帰国
病気やケガなど、実習生本人の都合により実習継続が困難な場合。
また、受け入れ機関の倒産、および次の実習実施先が見つからないことなど、日本の受け入れ機関の都合により、実習継続が困難となる場合があります。
このような場合は、技能実習を中止し途中帰国することになります。

3. 技能実習2,3号への移行ができないために帰国
技能実習2,3号への移行には、学科と技能の試験に合格することが必要です。
ここで不合格になると、途中帰国することになります。

4. 実習生本人の申し出による帰国
技能実習期間中に、実習生本人が帰国を希望する場合があります。

このように、技能実習期間中の途中帰国にはさまざまなケースがあります。

受け入れ機関、実習実施者の方々は、受け入れた技能実習生が途中で帰国することなく、実習期間の最後まで、現場での作業に従事することを望んでいるかと思います。
技能実習制度の目的である「国際貢献」「開発途上国への技能の移転」を果たすためにも、実習生を途中帰国に追いやるようなことは避けたいところです。

しかし、ルール上必ず帰国しなければならない場合もありますので、受け入れ機関および実習実施者は途中帰国に関する知識、対応方法を知っておく必要があります。
技能実習生を受け入れるのであれば、必ず知っておきましょう。

1. 技能実習法に基づく帰国


技能実習生は、特定のタイミングで必ず帰国しなければなりません。
・実習期間2~3年目にあたる技能実習2号の期間が終了した後に1ヶ月以上
・技能実習3号開始後、1年以内のどこかで、1ヶ月以上1年未満
このように技能実習生は2つのタイミングで、決まった期間母国に帰国する必要があります。

これは技能実習法で定められている帰国であるため、受け入れ機関、技能実習生本人の意向に関わらず、必ず帰国しなければなりません。
また、実習生が帰国するための費用(現住所から空港への移動代、日本から母国への渡航費)は実習実施者が負担します。

スケジュール調整をしましょう

技能実習生が帰国する日が近づいてきたら、在留期間内に退職日および帰国日のスケジュール調整をします。帰国の日程については、技能実習生・受入れ企業・監理団体の三者による協議にて決めます。
退職日および帰国日が決まったあと、監理団体が帰国用の航空券を手配します。

帰国する日程の調整は慎重に行いましょう。
技能実習生が帰国するまでの間に、退職・帰国に伴う諸手続きを行う必要があります。
そのため、帰国日の設定は余裕をもった日程にする方が良いでしょう。

退職・帰国に伴う諸手続き

① 給与の計算

技能実習生の最後の給料を、帰国日までに支払います。給与計算は、あらかじめ行います。
この際に注意するべき点は、支払い方法についてです。帰国予定の技能実習生は、給与受け取り用の銀行口座を解約してしまうかもしれません。そのため、口座の解約前に現金で支払いを済ませておく必要があります。

② 有給休暇の消化

有給休暇は実習期間中に消化できるように、帰国の日程調整を行いましょう。
万が一消化できなくなった場合、実習生から不満が出てしまい揉め事になってしまいます。
揉め事や、有給休暇の消化を受け入れたことによる帰国の日程の再調整は、なるべく避けたいかと思います。
そのためにはあらかじめ、有給休暇を消化を見据えた上で、帰国のスケジュール調整をしておくべきでしょう。

③ 年末調整の実施

12月を待たずに、最後に賃金を支給した日までの額を元に、所得税の清算を行います。

④ 社会保険喪失手続き

社会保険喪失手続きや年金手帳の返却をします。

まず技能実習生は、厚生年金脱退一時金というものの受給対象です。
脱退一時金とは、日本国内の会社で6ヶ月以上働いたことがある外国人を対象に支払われる、厚生年金保険の一時金です。日本に短期滞在する外国人の保険料の掛け捨てを防ぐために、外国人が日本を出国した後の2年以内に請求すれば、厚生年金保険に加入していた期間に応じた一時金が支払われます。
これに伴い、技能実習生は年金手帳を受け取ることになります。そのため、帰国時に年金手帳の返却が必要となります。

⑤ 技能実習生に貸し出していた備品の回収

健康保険証、社員証など、技能実習生に貸し出していた備品の回収を退職時にします。

⑥ 住民税の清算

住民税は前年の所得金額に応じて後納で分割払いをします。そのため、技能実習生が帰国するタイミングによっては納税がまだ残っている場合があります。
このことにより、管轄の市役所への問合せや、帰国前に清算を帰国前に行う必要があります。
清算方法については、監理団体と相談の上、決定します。

退職時の社外手続き

① 市区町村への転出届

住民登録をした市区町村へ転出届を提出します。厚生年金脱退一時金の受給要件に「日本国内に住所を有していない方」という項目があるため、転出届を提出していないと、脱退一時金の還付が遅くなってしまう可能性があります。なので、転出届は必ず提出しておくことをおすすめします。

② 外国人労働者の離職届

技能実習生などの外国人労働者が離職する際、当該外国人労働者の在留資格や在留期間等についての情報を、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ届け出る必要があります。
提出の期限は、退職日の翌日から起算して10日以内です。雇用保険被保険者資格喪失届と併せて必要事項を届け出ます。

③ 銀行口座解約の手続き

最終の給与を支払い、技能実習生が給料を引き出した後、その銀行口座は必ず解約させるようにしましょう。
使っていない銀行口座を残したままですと、悪用される恐れがあるためです。

④ 通信サービスの解約

技能実習生が個人で契約している携帯電話やインターネット等の契約を解除しておきましょう。
これを解除しないまま帰国してしまうと、帰国後に発生した料金の負担が発生する恐れがあります。

2. 実習継続が困難となり、帰国

技能実習の継続が困難になる場合があります。
・実習期間中の病気やケガにより、実習を継続することが困難になる
・受け入れ機関が倒産、かつ代わりの実習実施先が見つからない
などの場合に継続が困難になり、技能実習生が帰国することがあります。

このような場合の受け入れ機関側の手続きは、技能実習法で定められている帰国時の退職手続きと同じ流れです。
また監理団体に関しては、当初の計画の実施が困難になったことを報告するために、外国人技能実習機構に「技能実習困難時届出書」を提出する必要があります。

3. 技能実習2号への移行ができないために帰国

技能実習1号が終了し2号へ移行する際、学科と技能の試験に合格していることが必要です。
そのため、試験に不合格となってしまうと1年の実習期間で帰国することになります。

短い期間で帰国されてしまうことは受け入れ期間側も望んでいないかと思います。
2号への移行試験に合格できそうかどうか、気にかけておくことが必要です。

4. 実習生本人の申し出による帰国

身内に不幸がある、体調不良などを理由に、技能実習期間中に本人が希望し、帰国することがあります。
帰国理由のパターンに関しては後述します。

このような帰国の場合、実習実施者は、有給や忌引き等の扱いでなるべく技能実習生の意向に沿った対応をしましょう。
実習生から帰国の申し出があった際の細かい対応方法は、帰国理由によりますが、大まかな対応方法としては以下のようなものがあります。

① 技能実習生に帰国を希望する理由をきく
② 団体監理型で受け入れている場合は監理団体に報告し、了承を得る
③ 社内・社外の帰国に伴う手続きを行う(一時帰国の場合は必要ありません)
④ 帰国する(この際の費用の取り扱い方は法定の帰国とは異なり、実習生自身が負担することも可能です)

一時帰国の場合は、
⑤ 1ヶ月のうち80時間以上技能実習を行わない場合は技能実習計画を変更する必要があります
⑥ 再入国許可制度で入国

一時帰国に伴いみなし再入国許可制度を利用する場合は、再入国が在留期限内であるかどうかを注意しましょう。手続ミスにより単純出国してしまい、実習生が再度日本に入国することができなくなってしまうケースが発生していますので、監理団体、実習実施機関が必ずフォローするようにしましょう。

またみなし再入国許可の適用を受けるためには、出国する空・海港の入国審査官に対し、必ず「みなし再入国許可」の適用を希望する旨にチェックマークを記入した「再入国出国記録(再入国用EDカード)」を提出する必要があります。
単純出国になってしまうことを防ぐために、監理団体や実習実施者が、技能実習生のパスポートに一時帰国で再入国予定である旨のメモを貼付しておくことも効果的な対策です。

4-1. 実習の日々に耐えられなくなったことによる帰国

自分の意思で技能実習に参加したものの、来日し現場での日々を重ねた結果、
「思っていたのと違う」
「実習がキツいから、母国に帰りたくなってきた」
などの理由で帰国するケースもあります。
目標を持って来日したものの、来日前に思い描いていた実習と、実際の実習にギャップを感じ、帰国するというケースです。

ではこのギャップとはいったい何なのでしょうか。
まず技能実習生の方々は、日本で技術を学び、同時にお金を稼いで母国の家族に援助したい、母国をもっと豊かにしたいなどの目標を持っていることが多いです。
この想いを胸に、母国で日本語や日本の文化を勉強し、実習に参加するための試験に合格し来日します。
しかし、来日して実際に働いてみると、低賃金、負担の大きい肉体労働、休日出勤、残業の多さ、単純労働の繰り返しなどの環境を目の当たりにし、ここにギャップを感じます。
このように、入国前に思い描いていたことと、入国後の実際の労働環境にギャップを感じて途中帰国するというケースがあります。

これは、一部の日本人でさえ感じている問題でもあるので、解決するのは難しいかもしれません。ですが、技能実習を受け入れる企業については労働環境を少しでも良くするなど、外国人技能実習生と受け入れ機関側の企業がお互い歩み寄って行くことが必要かもしれません。

4-2. 実習生自身の家族の不幸・病気などによる帰国

技能実習生自身の家族の不幸・病気などで仕方がなく帰国するケースがあります。
このような理由による帰国の申し出があった場合、監理団体や受け入れ機関は日本に残ってもらえるよう、説得の方向に持っていくことが多いです。これは技能実習生を受け入れる準備のために多額の借金をしているため、「できれば期間終了までの3年間、頑張って欲しい」という受け入れ機関側の要望が理由です。
しかし話し合いの末、やむを得ず途中帰国することが決まった場合は、申請の手続きをすることで途中帰国することができます。
ここで注意しておきたいのは、出国前に再入国許可申請についてです。
再度実習を始める場合は、出国前に再入国許可申請をしておかないと、今までの在留資格は無効とされ、改めて在留資格を取得しなおす必要が出てきます。

まとめ

技能実習生を受け入れる以上、実習生が期間を終える前に途中帰国してしまう可能性は必ずあります。
重要なことは、その際に受入れ機関側が適切な対応をできるということです。

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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