技能実習制度

この記事では、技能実習制度の「ゴム製品製造」について紹介しています。
これを読むことで、
ゴム製品製造の概要、技能実習制度の概要、実習生受け入れまでの流れ、実習での作業計画
を知ることができます。

「ゴム製品製造」とは

ゴム製品は、
・石油製品が原材料の合成ゴム製品
・天然ゴムが原材料の天然ゴム製品
の2種類に大別されます。

合成ゴムは耐久性、耐熱性、耐候性、耐摩耗性が優れています。
また価格変動が少なく、価格が安定しているのが特長です。
これに対して天然ゴム製品は、弾力性、粘着性、伸張性、引き裂き強度に優れています。
また生産時のCO2排出量が少なく、環境面にも優れている点が特長です。
ですが、価格変動が大きいです。

ゴムの製造は原材料によって製造工程が異なっています。
技能実習の「ゴム製品製造」では、先ほど紹介した天然ゴム・合成ゴムの両方を使うので、両方の製造工程の技能を習得することができます。

技能実習制度とは

「技能実習制度」とは、
開発途上国などの外国人が来日し、日本で修得した技能・知識を開発途上国へ移転する制度です。

実際は、日本の人材不足の補填となっているように見られる場面があり、問題視されている実態があります。ですが、本来の目的は「日本から開発途上国への国際貢献」です。

技術移転の流れは、まず開発途上国の若者が「技能実習生」となり、日本の企業で就労します(この企業を「受け入れ企業(または機関)」と言います)。この就労を通して日本の技術・知識を修得し、その技術を母国へ持ち帰り、母国での技術発展に役立てます。
以上のような流れで開発途上国の発展を助け、国際貢献を目指します。
「ゴム製品製造」であれば、
全4種類ある作業それぞれの加工前作業、加工作業、仕上げ検査作業、型の後始末作業
などの技術・知識を母国に持ち帰ることになります。

この技能実習制度は2010年まで、「外国人研修制度」という名前で運用されてきました。
しかし、目的外の労働の強要・賃金の未払いなど、さまざまな問題が見られ、本来の趣旨である「国際貢献」に反する運用の実態が問題視されていました。

これらの実態をなくすべく制度の再検討を行い、制度の改正を行いました。
この際に、制度の名称が「外国人技能実習制度」となりました。

技能実習生受け入れの流れ

ここでは、技能実習生受け入れの大まかな流れを紹介します。
まず、技能実習生を受け入れてから、事前に作成し監督省庁に提出した実習計画に沿って実習を行います。
「ゴム製品製造」
の場合、実習期間は最大で3年間です。
技能実習1号、2号へそれぞれの基準を満たすことで移行することができます。

受け入れを行う際の準備はたくさんあります。希望する人材の選定や必要な書類の作成・提出、法令によって定められている講習の実施などがあります。

従業員が少ない企業では、全ての手続きを自社で行うのが難しい場合がありますが、安心してください。
実際、全ての手続きを受入れ機関(企業)が行っているケースはあまり見られません。
「監理団体」と呼ばれる外部の専門機関へ委託することが可能で、中小企業など多くの企業が監理団体に委託して運用しています。
監理団体に委託する場合は、以下の流れで技能実習生を受け入れることになります。

◯ 監理団体に加入
◯ 現地(外国)で面談
◯ 現地で教育(講習など)
◯ 日本へ入国
◯ 監理団体での講習
◯ 受け入れ

技能実習の「ゴム製品製造(成形加工作業)」の業務内容

厚生労働省が公開している技能実習計画の審査基準をもとに、
「ゴム製品製造(成形加工作業)」の業務内容を細かく見ていきましょう。

成形加工作業とは、技能実習計画の書面によると、
成型機である圧縮成型機のいずれか1つ以上を用いて、
またはこれらを組み合わせて用いて、
熱及び圧力を加えることによって型(金型)でゴム材を所定形状に加工を行う作業
のことをいいます。

必須業務

必須業務とは、技能等を修得等するために必ず行われなければならない業務のことです。技能実習生が修得等をしようとする技能等に係る技能検定、またはこれに相当する技能実習評価試験の試験範囲に基づいた内容となっています。

第1号技能実習

(1) 成形加工作業
※指導者の指示に基づいて、作業を行います。

1. 加工前作業
・加工機械、加工機械の付属装置、安全装置、型(金型)、作業治工具の点検及び整備作業

2. 加工作業
・材料供給作業
・試し加工作業
・成形機による加工作業

3.仕上げ検査作業
・形状仕上げ作業(裁断、バリ仕上げ)
・寸法検査及び外観検査作業

第2号技能実習

(1) 成形加工作業
※2号では、標準作業(作業手順書)通りに1人で作業を行います。

1. 加工前作業
・加工機械、加工機械の付属装置、安全装置、型(金型)、作業治工具の点検及び整備作業
・材料準備作業
・加工条件設定作業

2. 加工作業
・材料供給作業
・試し加工作業
・調整作業
・成形機による加工作業

3. 仕上げ検査作業
・形状仕上げ作業(裁断、バリ仕上げ)
・寸法検査及び外観検査作業

4. 型の後始末作業
・型内の汚れ除去作業

安全衛生業務

安全衛生業務の内容は、1,2,3号全て共通しています。

1. 雇入れ時等の安全衛生教育の受講
2. 成形加工作業に必要な整理整頓作業
(治工具、測定器の後片付け作業含みます)
3. 成形加工作業で使用する機械及び周囲の安全確認作業
4. 保護具の着用と服装の安全点検作業
5. 安全装置の使用等による安全作業
(異常がある場合、上司報告含みます)
6. 作業終了後の機械、周辺の清掃作業

関連業務, 周辺業務

関連業務とは、必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して行う場合のある業務のことです。修得予定の技能等の向上に寄与する内容とされています。
また周辺業務とは、必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して通常携わる業務のことです。

(1)関連業務

1. 押出し加工作業
2. 混練り圧延加工作業
3. 複合積層加工作業
4. ゴム材のディッピング加工作業
5. ゴム材のライニング加工作業
6. ゴム材のラッピング加工作業
7. 注型成形加工作業
8. ゴム製品の後処理(表面処理、塗装等)作業
9. ゴム製品の部品組付け、組み立て作業
10. ゴム製品の二次加工(切削、打抜き、接着、溶着、絞り等)作業
11. 型の摩耗に対する簡単な研削作業
12. 型、製品、材料等の運搬・保管作業
13. ゴム製品製造に関する保全作業
14. 金型洗浄作業

(2)周辺業務

1. 工場の作業環境整備作業
2. 原材料、副資材、包装資材等の在庫管理(棚卸し)作業
3. 製品の梱包、出荷作業

(3)安全衛生業務

必須業務の安全衛生業務と同じ内容です。

技能実習の「ゴム製品製造(押出し加工作業)」の業務内容

押出し加工作業とは、技能実習計画の書面によると、
押出設備を用いて、型(ダイ)を通し、ゴム材を連続的に出して所定形状に加工を行う作業
のことをいいます。

必須業務

第1号技能実習

(1) 押出し加工作業
※指導者の指示に基づき作業を行います。

1. 加工前作業
・加工機械、加工機械の付属装置、安全装置、型(ダイ)、 作業治工具の点検及び整備作業

2. 加工作業
・材料供給作業
・試し加工作業
・押出設備による加工作業

3.仕上げ検査作業
・形状仕上げ作業(長さ裁断)
・寸法検査及び外観検査作業

第2号技能実習

(1) 押出し加工作業
※2号では標準作業(作業手順書)通りに、1人で作業を行います。

1. 加工前作業
・加工機械、加工機械の付属装置、安全装置、型(ダイ)、 作業治工具の点検及び整備作業
・材料準備作業
・加工条件設定作業

2. 加工作業
・材料供給作業
・試し加工作業
・調整作業 ・押出設備による加工作業

3. 仕上げ検査作業
・形状仕上げ作業(長さ裁断)
・寸法検査及び外観検査作業

4. 型の後始末作業
・型内の汚れ除去作業

安全衛生業務

安全衛生業務の内容は、1,2,3号全て共通しています。

1. 雇入れ時等の安全衛生教育の受講
2. 押出し加工作業に必要な整理整頓作業(治工具、測定器の後片付け作業含む)
3. 押出し加工作業で使用する機械及び周囲の安全確認作業
4. 保護具の着用と服装の安全点検作業
5. 安全装置の使用等による安全作業(異常がある場合、上司報告含む)
6. 作業終了後の機械、周辺の清掃作業

関連業務, 周辺業務

(1)関連業務

(1) 関連業務
1. 成形加工作業
2. 混練り圧延加工作業
3. 複合積層加工作業
4. ゴム材のディッピング加工作業
5. ゴム材のライニング加工作業
6. ゴム材のラッピング加工作業
7. 注型成形加工作業
8. ゴム製品の後処理(表面処理、塗装等)作業
9. ゴム製品の部品組付け、組み立て作業
10. ゴム製品の二次加工(切削、打抜き、接着、溶着、絞り等)作業
11. 型の摩耗に対する簡単な研削作業
12. 型、製品、材料等の運搬・保管作業
13. ゴム製品製造に関する保全作業

(2)周辺業務

(2)周辺業務
1. 工場の作業環境整備作業
2. 原材料、副資材、包装資材等の在庫管理(棚卸し)作業
3. 製品の梱包、出荷作業

(3)安全衛生業務

必須業務の安全衛生業務と同じ内容です。

技能実習の「ゴム製品製造(混練り圧延加工作業)」の業務内容

混練り圧延加工作業とは、技能実習計画の書面によると、
混練り圧延設備である混練機、ロール機、カレンダーロール機のいずれか1つ以上を用いて、
またはこれらを組み合わせて用いて、
型(ロール)でゴム材と配合剤を混練りした後、所定形状(シート形状等)に加工を行う作業
のことをいいます。

第1号技能において、実習を行うための条件があります。
その条件とは、
技能実習指導員(日本ゴム工業会が提示した基準の技能を有し、日本ゴム工業会に登録した者)による常時補助を行い、 また技能実習指導員が実習生のすぐそばにおり、緊急時の設備停止を保証できることです。

必須業務

第1号技能実習

(1)混練り圧延加工作業
※指導者の指示に基づき作業を行います。

1. 加工前作業
・加工機械、加工機械の付属装置、安全装置、型(ロール)、作業治工具の点検および整備作業
・材料準備作業

2. 加工作業
・材料投入作業
・混練り圧延設備による加工作業

3. 仕上げ検査作業
・形状仕上げ作業(シート巾裁断)
・寸法検査および外観検査作業

第2号技能実習

(1)混練り圧延加工作業
※2号では標準作業(作業手順書)通りに、1人で作業を行います。

1. 加工前作業
・加工機械、加工機械の付属装置、安全装置、型(ロール) 作業治工具の点検および整備作業
・材料準備作業
・加工条件設定作業

2. 加工作業
・材料投入作業
・混練り圧延設備による加工作業

3. 仕上げ検査作業
・形状仕上げ作業(シート巾裁断)
・寸法検査および外観検査作業
・練り品質検査作業

4. 型の後始末作業
・型内の汚れ除去作業

安全衛生業務

安全衛生業務の内容は、1,2,3号全て共通しています。

1. 雇入れ時等の安全衛生教育の受講
2. 混練り圧延加工作業に必要な整理整頓作業
(治工具、測定器の後片付け作業含みます。)
3. 混練り圧延加工作業で使用する機械および周囲の安全確認作業
4. 保護具の着用と服装の安全点検作業
5. 安全装置の使用等による安全作業
(異常がある場合、上司報告含みます)
6. 作業終了後の機械、周辺の清掃作業

関連業務, 周辺業務

(1)関連業務

1. 成形加工作業
2. 押出し加工作業
3. 複合積層加工作業
4. ゴム材のディッピング加工作業
5. ゴム材のライニング加工作業
6. ゴム材のラッピング加工作業
7. 注型成形加工作業
8. ゴム製品の後処理(表面処理、塗装等)作業
9. ゴム製品の部品組付け、組み立て作業
10. ゴム製品の二次加工(切削、打抜き、接着、溶着、絞り等)作業
11. 型の摩耗に対する簡単な研削作業
12. 型、製品、材料等の運搬・保管作業
13. ゴム製品製造に関する保全作業

(2)周辺業務

1. 工場の作業環境整備作業
2. 原材料、副資材、包装資材などの在庫管理(棚卸し)作業
3. 製品の梱包、出荷作業

(3)安全衛生業務

必須業務の安全衛生業務と同じ内容です。

技能実習の「ゴム製品製造(複合積層加工作業)」の業務内容

複合積層加工作業とは、技能実習計画の書面によると、
複合積層設備を用いて、2つ以上の材料をゴムまたは接着剤の粘着力で積層しながら
型(ドラム、芯金)により所定形状に加工を行う作業のことをいいます。

必須業務

第1号技能実習

(1) 複合積層加工作業
※指導者の指示に基づいて作業を行います。

1. 加工前作業
・加工機械、加工機械の付属装置、安全装置、型(ドラム、芯金)、作業治工具の点検および整備作業
・材料準備、材料供給作業

2. 加工作業
・試し加工作業
・複合積層設備による加工作業

3. 仕上げ検査作業
・寸法検査および外観検査作業

第2号技能実習

(1) 複合積層加工作業
※2号では標準作業(作業手順書)通りに、1人で作業を行います。

1. 加工前作業
・加工機械、加工機械の付属装置、安全装置、型(ドラム、芯金)、作業治工具の点検および整備作業
・材料準備、材料供給作業
・加工条件設定作業

2. 加工作業
・試し加工作業
・調整作業
・複合積層設備による加工作業

3. 仕上げ検査作業
・形状仕上げ作業(裁断、ジョイント手直し)
・寸法検査および外観検査作業

4. 型の後始末作業
・型内の汚れ除去作業

安全衛生業務

安全衛生業務の内容は、1,2,3号全て共通しています。

1. 雇入れ時等の安全衛生教育の受講
2. 複合積層作業に必要な整理整頓作業
(治工具、測定器の後片付け作業含みます)
3. 複合積層作業で使用する機械および周囲の安全確認作業
4. 保護具の着用と服装の安全点検作業
5. 安全装置の使用等による安全作業
(異常がある場合、上司報告含みます)
6. 作業終了後の機械、周辺の清掃作業

関連業務, 周辺業務

(1)関連業務

1. 成形加工作業
2. 押出し加工作業
3. 混練り圧延加工作業
4. ゴム材のディッピング加工作業
5. ゴム材のライニング加工作業
6. ゴム材のラッピング加工作業
7. 注型成形加工作業
8. ゴム製品の後処理(表面処理、塗装等)作業
9. ゴム製品の部品組付け、組み立て作業
10. ゴム製品の二次加工(切削、打抜き、接着、溶着、絞り等)作業
11. 型の摩耗に対する簡単な研削作業
12. 型、製品、材料等の運搬・保管作業
13. ゴム製品製造に関する保全作業

(2)周辺業務

1. 工場の作業環境整備作業
2. 原材料、副資材、包装資材等の在庫管理(棚卸し)作業
3. 製品の梱包、出荷作業

(3)安全衛生業務

必須業務の安全衛生業務と同じ内容です。

まとめ

今回は、技能実習制度の「ゴム製品製造」について紹介しました。
日本の技能実習制度では、天然ゴム・合成ゴムの両方の技能を習得することができます。
また、海外にはゴム製造の生産拠点が多くあり、需要がある技能です。
国際貢献のためにも、制度を活用してみてはいかがでしょうか。

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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