技能実習制度

この記事では、技能実習の「製本業」について紹介しています。

製本業において人材不足に悩んでいる、海外展開を考えている方々はぜひお読みください。
これを読むことで、技能実習制度の概要、活用するメリット、「製本業」の現状、技能実習制度における「製本業」の業務内容を知ることができます。

「製本業」における技能実習生の受け入れ

「製本業」の企業が技能実習生を受け入れた場合、
員数調べ作業、突き揃え作業、丁合い作業、綴じ作業などを任せることができます。
後述しますが、制度の本来の目的は「開発途上国への技術移転」です。
技能実習生が母国へ移転できるよう、まずはしっかりと技術・知識を修得してもらう必要があります。
「製本業」での技能実習期間は最長で5年間です。
どのペースで、どの作業を修得してもらうかは、後の『技能実習「製本業」の業務内容』にて記載しています。

技能実習制度とは

「技能実習制度」とは、
日本で培われた技能・技術または知識を開発途上国へ移転するための制度です。
この移転により、
開発途上地域の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという国際協力を推進します。

技術移転の流れは、まず開発途上国の若者が「技能実習生」となり、日本の企業で就労します(この企業を「受け入れ企業(または機関)」と言います)。この就労を通して日本の技術・知識を修得し、その技術を母国へ持ち帰り、母国での技術発展に役立てます。
以上のような流れで開発途上国の発展を助け、国際貢献を目指します。
「製本業」であれば、
員数調べ作業、突き揃え作業、丁合い作業、綴じ作業などの技術・知識を母国に持ち帰ることになります。

この技能実習制度は2010年まで、「外国人研修制度」という名前で運用されてきました。
しかし、目的外の労働の強要・賃金の未払いなど、さまざまな問題が見られ、本来の趣旨である「国際協力」に反する運用の実態が問題視されていました。
これらの実態をなくすべく制度の再検討を行い、制度の改正を行いました。
この際に、制度の名称が「外国人技能実習制度」となりました。

ですが実際の現場では、日本の人材不足の補填となっているように見られる場面があり、この実態は問題視されています。本来の目的は「日本から開発途上国への国際貢献」なので、技能実習生が母国に技術・知識を移転できるような運用が求められます。
制度の理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と記されています。

今後も日本が国際協力を続けていくには、技能実習制度を活用する事業者の方々の適切な運用が求められます。

技能実習生受け入れの流れ

ここでは、技能実習生受け入れの大まかな流れを紹介します。
まず、技能実習生を受け入れてから、事前に作成し監督省庁に提出した実習計画に沿って実習を行います。
製本業の場合、実習期間は最大で5年間です。
技能実習1号、2号、3号へそれぞれの基準を満たすことで移行することができます。

受け入れを行う際の準備はたくさんあります。希望する人材の選定や必要な書類の作成・提出、法令によって定められている講習の実施などがあります。

従業員が少ない企業では、全ての手続きを自社で行うのが難しく、運用に不安を持たれるかもしれません。
しかし実際、全ての手続きを受入れ機関(企業)が行っているケースはあまり見られません。
「監理団体」と呼ばれる外部の専門機関へ委託することが可能で、中小企業など多くの企業が監理団体に委託して運用しています。
監理団体に委託する場合は、以下の流れで技能実習生を受け入れることになります。

◯ 監理団体に加入
◯ 現地(外国)で面談
◯ 現地で教育(講習など)
◯ 日本へ入国
◯ 監理団体での講習
◯ 受け入れ

「製本業」の現状

製本業はいま、厳しい状況にあります。
一昔前では、「製本業は無くならない」といわれていました。文書や製版などの成果物は、最終的な製本加工がなければ商品にはならないと考えられていたからです。
しかし、インターネットの普及により、文字などの媒体をスクリーンで閲覧する人が増えました。
そのため、製本業は厳しい状況に追い込まれています。
実際、製本専業の業者は毎年100社程度のペースで減っています。

製本業に限らず、印刷業を始めとする製造業全体が厳しい状況にあります。
「いかに受注を取るか」が重要であるため、もともとの単価が安いにもかかわらず、業者間の価格競争という悪循環に陥っています。
このまま価格低下が続けば各社の売り上げも低下するため、製本業は厳しい状況にあるといえます。

次の見出しでは、上記のような状況にある製本業の課題を見ていきます。

「製本業」の課題

顧客へのアピール

ほとんどの場合、製本業の顧客は印刷業と出版業に限られます。
そのため、製本業が長く続いていくためには印刷と出版の必要性を業界の顧客に伝え続ける必要があります。
製本業は印刷物の製本加工が主な事業であることは言うまでもありません。
紙媒体が持っている良さ「手に取る喜び」「人間的な味わい」を伝え続けなければいけません。

多種多様な開発

外部環境の変化は、先が読めません。変化の流れに身を任せたくないのであれば、技術開発、商品開発は続ける必要があります。

同業種・異業種間の連携

各業者の強みを明確にし、組み合わせる必要があると考えられます。価格競争が続けば、各業者が衰退していき、業界全体の衰退につながります。「各業者の強みを組み合わせ、新しい優位性で商売をする」という考えがあるのであれば、買収・合併・業務委託は手段としてあげられます。

技能実習「製本業」の業務内容

技能実習「製本作業」の作業の定義は、
「製本用材料として印刷された印刷物、表紙、カバー及び製本に必要な材料などを使用し、製本する作業」です。
ここでいう印刷物は、定期出版印刷物、不定期出版印刷物、宣伝出版印刷物、業務用印刷物、事務用人印刷物などが挙げられます。

必須業務

必須業務とは、技能等を修得等するために必ず行われなければならない業務のことです。技能実習生が修得等をしようとする技能等に係る技能検定、またはこれに相当する技能実習評価試験の試験範囲に基づいた内容となっています。

第1号技能実習

(1)製本作業
① 員数調べ作業
② 突き揃え作業
③ 丁合い作業
④ 綴じ作業

第2号技能実習

作業内容が、第1号と全く同じです。第2号に関しては、実習期間の延長であると考えられます。

(1)製本作業
① 員数調べ作業
② 突き揃え作業
③ 丁合い作業
④ 綴じ作業

第3号技能実習

(1)製本作業
① 断裁作業
(※断裁機に係る特別教育修了書が必要です。)
② 員数調べ作業
③ 突き揃え作業
④ 紙折り作業
⑤ 丁合い作業
⑥ 綴じ作業
⑦ 穴あけ作業

安全衛生業務

安全衛生業務の内容は、1,2,3号全て共通しています。

① 雇入れ時等の安全衛生教育
② 作業開始前の安全装置等の点検作業
③ 製本職種に必要な整理整頓作業
④ 製本職種の作業用機械及び周囲の安全確認作業
⑤ 保護具の着用と服装の安全点検作業
⑥ 安全装置の使用等による安全作業
⑦ 労働衛生上の有害性を防止するための作業
⑧ 異常時の応急措置を修得するための作業

関連業務, 周辺業務

関連業務とは、必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して行う場合のある業務のことです。修得予定の技能等の向上に寄与する内容とされています。
周辺業務とは、必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して通常携わる業務のことです。

(1)関連業務

① 箔押し作業
② 製本機械の点検・保守・管理作業
③ 工数見積り作業

(2)周辺業務

① 製版作業
② 印刷作業
③ 製本材料及び製品の構内運搬作業
④ 梱包・出荷作業
⑤ 紙器・段ボール箱製造作業
⑥ 環境保護(リサイクル)に関する作業

(3)安全衛生業務

必須業務の安全衛生業務と同じ内容です。

実習にて使用する素材(材料)

以下の中から該当するものを選択し、実習に使用します。

① 接着用材料(一つ以上必ず使用すること。)
1.でんぷん糊(のり)
2.にかわ
3.化学糊(のり)(ホットメルト、PUR)

② 綴じ用材料(一つ以上必ず使用すること。)
1.糸
2.針金
3.背貼紙
4.寒冷紗(かんれいしゃ)

③ 装丁(表装)用材料(必要に応じて使用すること。)
1.皮革
2.クロス
3.板紙

④ 化粧用材料(必要に応じて使用すること。)
1.花布(はなぎれ)
2.しおり
3.金属箔
4.色箔

⑤ 製本用材料
次の印刷物のうち一つ以上必ず使用すること。

1)出版印刷物
【1】定期出版印刷物
1.1 雑誌用印刷物
(週刊誌用印刷物, 隔週刊誌用印刷物, 旬刊誌用印刷物, 月刊誌用印刷物, 隔月刊誌用印刷物, 季刊誌用印刷物, その他の雑誌用印刷物)

1.2 その他の定期出版印刷物
(官広報用印刷物, 広報用誌印刷物, 他に分類されない定期出版印刷物)

【2】不定期出版印刷物
2.1 書籍用印刷物
(単行本用印刷物、全集用印刷物、事辞典用印刷物、百科事典用印刷物、美術書用印刷物、年鑑用印刷物、文庫・新書本用印刷物)
2.2 教科書用印刷物
2.3 パンフレット(48ページ以下のもの)
2.4 地図用印刷物
2.5 楽譜用印刷物
2.6 学習参考書用印刷物
2.7 ドリル用印刷物
2.8 その他の不定期出版印刷物

3.その他の出版印刷物
3.1 電話帳用印刷物
3.2 自費出版印刷物
3.3 手帳(ダイアリーを含む。)
3.4 他に分類されない出版印刷物

2)商業印刷物
【1】宣伝用印刷物
1.1 パンフレット
(ちらし, PR誌紙)
1.2 カタログ
1.3 POP
1.4 カレンダー
1.5 包装紙及びショッピングバッグ
1.6 シール及びラベル
1.7その他の宣伝用印刷物
(グリーティングカード、絵はがき、他に分類されない宣伝用印刷物)

【2】業務用印刷物
2.1記念誌
(社史, 年史)
2.2報告書
(議事録, 営業報告書, その他の報告書)
2.3名簿
2.4使用書
(能書き, マニュアル, 料金表, 料率表)
2.5社内報
2.6その他の業務用印刷物

【3】事務用印刷物
(個々の官庁, 社会その他各種経営体で用いる諸様式で、注文生産のもの。但し、既製印刷物は除く。)
3.1 ビジネスフォーム印刷物
(連続伝票, その他のビジネスフォーム印刷物)
3.2事務用品印刷物
(社交用印刷物、その他の事務用印刷物)

【4】 その他の商業印刷物

実習にて使用する機械・設備・工具など

以下の中から該当するものを選択し、実習に使用します。

① 機械、設備等(2つ以上必ず使用すること。)
1.断裁機(特別教育が必要です。)
2.紙揃機
3.紙折り機
4.糸かがり機
5.丁合機
6.上製ライン
7.無線綴じ機
8.貼込機
9.針金綴じ機
10.ドリルせん孔機
11.表紙貼機
12.箔押機
13.切取りミシン機
14.背巻機
15.リング製本機(マーブル巻)
16.角丸(かどまる)機、角切(かどぎり)機
17.計数機(員数機)
18.焼付け機
19.その他製本に使用する機械
20.作業台

② 器工具等(一つ以上必ず使用する必要があります。)
1.革剥き(かわすき)
2.折りべら
3.丁合台
4.目打ち
5.刷毛(はけ)
6.こつ(樫・桜などの堅い木でつくった定規で、本の丸味を出すときに用います。)
7.銀杏(いちょう)
8.各種スケール
9.指サック
10.ウェス
11.丁合用紙ばさみ
12.ホチキス(ホチキス針を含みます。)
13.その他製本用器工具類

製品の例

1. 平綴製本による書籍
2. 無線綴製本による書籍
3. アジロ綴製本による書籍
4. 平綴製本による雑誌
5. 無線綴製本による雑誌
6. 糸かがり製本による雑誌
7. 麻綴製本による雑誌
8. テープ綴製本による雑誌
9. 中綴製本による雑誌
10. 単式伝票製本による商業印刷物
11. 複式伝票製本による商業印刷物
12. 中綴及び平綴製本による商業印刷物

まとめ

今回は、技能実習制度における「製本業」について紹介しました。

外国から受け入れる技能実習生の業務内容に制限はありますが、
うまく活かせれば国際貢献にも役立つかもしれません。

ぜひ、技能実習制度の活用を検討してみてください!

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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