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特定技能制度

この記事では、いま深刻な人材不足に陥っている製造業が外国人労働者を受け入れるための制度「特定技能制度」について、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野について解説しています。
特定技能制度で外国人労働者を受け入れる場合は、外国人労働者がつける作業が決まっていること、連絡・協議会へ加入することなど、知っておくべきことがありますので、
ぜひこの記事で確認しておきましょう!

日本の製造業に「外国人材」が必要な理由

日本の製造業はいま、全体的に人手が不足しています。製造業に外国人労働者が必要な理由はこれです。

特に工場などで使う機械の製造業に関しては、工作機械やロボットなどへのニーズが高まっているにもかかわらず、これに関する製造業(産業機械製造業)における有効求人倍率は2017年の時点で2.89という高い水準にあります。このままでは人手不足が理由で、業界として世の中のニーズに応えられない状況に陥ってくと考えられています。

この現状に対して各企業は、
・生産プロセスのデジタル化
・IoT, AIの導入
・女性の雇用促進
・外国人労働者の雇用
などの対策を進めています。

そこで今回は、外国人材を雇用するための制度「特定技能制度」について解説していきます。

特定技能制度とは?

特定技能制度とは、国内人材では人手不足を解消することが難しい分野において、即戦力となる外国人労働者を受け入れるための制度です。特定技能制度で受け入れられた外国人は、「特定技能1号」「特定技能2号」のいずれかのビザで日本に在留します。在留期間、受入れ可能な業種、任せられる業務、雇用形態・労働条件などについては、出入国管理法などにおいて規定されています。

特定技能には1号と2号があり、
1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
とされています。

在留期間

特定技能には1号と2号の2種類があります。ですが、産業機械製造業で受入れが行われているのは、現在1号のみです。
特定技能1号の場合、1年、6ヶ月、4ヶ月のいずれかの在留期間が与えられます。在留資格更新の申請により通算で5年まで在留することができます。失業期間、育児または産前産後休暇、労災による休暇の期間なども通算在留期間に含まれます。

日本のどの業種で受け入れができるのか?

特定技能制度で製造業への人材受け入れをする場合、いったいどの業種の事業所で受け入れができるのでしょうか?
2023年4月現在では、以下の19の業種にて受け入れが可能です。

1. 鋳型製造業(中子を含む)
2. 鉄素形材製造業
3. 非鉄金属素形材製造業
4. 機械刃物製造業
5. 作業工具製造業
6. 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
7. 金属素形材製品製造業
8. 溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
9. 電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
10. 金属熱処理業
11. その他金属表面処理業(※アルミニウム陽極酸化処理業に限ります。)
12. ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
13. はん用機械器具製造業(※2591消火器具・消火装置製造業を除きます。)
14. 生産用機械器具製造業
15. 業務用機械器具製造業(※医療用機械器具・医療用品製造業、武器製造業を除きます。)
16. 電子部品・デバイス・電子回路製造業
17. 電気機械器具製造業(※内燃機関電装品製造業を除きます。)
18. 情報通信機械器具製造業
19. 工業用模型製造業

受け入れ可能な事業所とみなされるには?

特定技能制度で外国人労働者を受け入れるには、「製造業としての事業を行なっている」と認められる必要があります。
認められるかどうかの基準は、『直近1年間の収入発生の有無』とされています。
その産業分野に属する
・製造品の出荷
・加工・処理の受託
・製造・加工・処理の過程で発生したくず廃物の出荷
などの業務による収入が発生していれば、「製造業としての事業を行なっている」と見なされます。

それぞれの業務の具体例は、以下の通りです。

【製造品の出荷】
・事業所が所有する原材料で製造した製品
(自社製造品、または他社に原材料を支給して製造した製品の出荷など)
・自社グループ内の他の事業所への引き渡し
・事業所内での自家使用
・委託販売

【加工・処理】
他企業の所有する原材料で製造した製品、他企業の所有する製品・半製品に対する加工・処理

【製造, 加工, 処理の過程で発生したくず廃物の出荷】
・くず廃物の出荷
・仕入れ品の転売
・製品修理
・冷蔵保管
・自家発電の余剰電力の販売

外国人労働者が従事できる業務

特定技能制度で受け入れた外国人労働者がつける業務を確認していきましょう。

① 機械金属加工

【作業の定義】
『指導者の指示を理解し、または自らの判断により、素形材製品や産業機械等の製造工程の作業に従事』

以下の15種類の作業です。
1. 鋳造
2. 鉄工
3. 塗装
4. ダイガスト
5. 機械鉄工
6. 電気機器組立て
7. 金属プレス加工
8. 仕上げ
9. 機械検査
10. 工場板金
11. プラスチック成形
12. 機械保全
13. 鍛造
14. 溶接
15. 工業包装

② 電気電子機器組立て

【作業の定義】
『指導者の指示を理解し、または自らの判断により、電気電子機器等の製造工程、組立工程の作業に従事』
以下の9つの作業です。
1. 機械加工
2. プリント配線板製造
3. 仕上げ
4. 機械検査
5. プラスチック成形
6. 機械保全
7. 電気機器組立て
8. 工業包装
9. 電子機器組立て

③ 金属表面処理

【作業の定義】
『指導者の指示を理解し、または自らの判断により、表面処理等の作業に従事』
以下の2つの作業です。

1. めっき
2. アルミニウム陽極酸化処理

技能実習制度とは、何が違うのか?

外国人の受け入れといえば、今回解説している特定技能制度以外には、「技能実習制度」があります。
この「技能実習制度」とは、いったい何が違うのでしょうか?

特定技能制度は「即戦力となる外国人材の受け入れ」を目的としています。これに対し技能実習制度は、「日本の技能・技術・知識を外国人に吸収してもらい、帰国後に現地で活用してもらう技術移転」を目的としています。つまり技能実習制度は、外国に向けての国際貢献が目的の制度です。そのため本来、日本の労働力の需給調整の手段として用いられてはならないとされています。
ただし、同じ業務内容の技能実習2号を修了した外国人が特定技能ビザへの移行を希望し、特定技能所属機関も受入れ可能である場合は、無試験で特定技能に移行し、特定技能外国人として就業できる場合があります。

具体的な違い

技能実習制度と特定技能制度の具体的な違いを確認しましょう。

1. 関係法令

【技能実習制度】
外国人の技能実習の適正な実施および技能実習生の保護に関する法律、出入国管理および難民認定法

【特定技能制度】
出入国管理および難民認定法

2. 在留資格

【技能実習制度】
在留資格「技能実習」

【特定技能制度】
在留資格「特定技能」

3. 在留期間

【技能実習制度】
技能実習1号: 1年以内
技能実習2号: 2年以内
技能実習3号: 2年以内
(合計で最長5年)

【特定技能制度】
通算5年

4. 外国人の技能水準

【技能実習制度】
なし

【特定技能制度】
相当程度の知識または経験が必要

5. 入国時の試験

【技能実習制度】
なし(※介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり)

【特定技能制度】
技能水準、日本語能力水準を試験等で確認 (※技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除)

6. 送出機関

【技能実習制度】
外国政府の推薦、または認定を受けた機関

【特定技能制度】
なし

7. 監理団体

【技能実習制度】
あり (※ 非営利の事業協同組合等が実習実施者への監査、その他の監理事業を行います。主務大臣による許可制です。)

【特定技能制度】
なし

8. 支援機関

【技能実習制度】
なし

【特定技能制度】
あり (個人、または団体が受入れ機関からの委託を受けて特定技能外国人に住居の確保その他の支援を行います。出入国在留管理庁による登録制です。)

9. 外国人と受入れ機関のマッチング

【技能実習制度】
通常、監理団体と送出機関を通して行われます。

【特定技能制度】
受入れ機関が直接海外で採用活動を行います。
または、国内外のあっせん機関等を通じて採用することが可能です。

10. 受入れ機関の人数枠

【技能実習制度】
常勤職員の総数に応じた人数枠あり

【特定技能制度】
人数枠なし(介護分野、建設分野を除く)

11. 活動内容

【技能実習制度】
非専門的・技術的分野。
[1号の場合] 技能実習計画に基づいて、講習を受け、および技能等に係る業務に従事する活動
[2, 3号の場合] 技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動

【特定技能制度】
専門的・技術的分野。
相当程度の知識、または経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動。

12. 転籍・転職

【技能実習制度】
原則不可です。
ただし、実習実施者の倒産等やむを得ない場合や、2号から3号への移行時は転籍可能です。

【特定技能制度】
同一の業務区分内、または試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において転職が可能です。

『特定技能ビザの取得要件』を知りましょう

1. 試験に合格すること

日本語能力と、仕事に必要な技能に関する試験に合格する必要があります。

日本語試験

以下のいずれかの試験に合格する必要があります。
① 国際交流基金日本語基礎テスト
② 日本語能力試験(N4以上)

技能試験

「製造分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。
実施方法は、学科試験・実技試験です。

2. 技能実習2号を修了していること

特定技能の製造業の業務区分にあたる職種・作業についての技能実習2号を良好に修了した外国人は、その業務区分の技能試験が免除されます。

例えば、
特定技能「鋳造」の職種を希望するにあたって、技能実習の「鋳鉄鋳物鋳造」または「非鉄金属鋳物鋳造」の作業を良好に修了していれば、特定技能「鋳造」に必要な技能水準を有しているものと見なされます。
また、特定技能「鋳造」に就きたいものの、技能実習の職種が「鋳造」以外の場合は、「鋳造」に関する技能試験に合格する必要があります。
日本語試験に関しては、職種・作業問わず技能実習2号を良好に修了していれば、免除されます。

特定技能での受け入れ時に、注意すべきこと

特定技能外国人を受け入れる企業である「特定技能所属機関」は、
適正な雇用契約の締結、特定技能外国人の支援体制を整備、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入、協議会が行う資料要求、現地調査等に対し必要な協力を行うことなど様々なことを求められます。また、過去に違反行為がある、外国人の行方不明・失踪の発生がある場合は、受入れが認められない場合があります。
つまり、特定技能で外国人労働者を受け入れるには、「特定技能所属機関」として相応しい機関である必要があります。

1. 外国人労働者への支援体制の整備

特定技能所属機関は外国人労働者に対し、事前ガイダンスや入国時の送迎、住居に関する契約手続きなどのサポート、生活オリエンテーションなどの支援を提供する義務があります。
ですが、上記のような支援体制を企業単独で用意することは大きな負担であることから、国の登録を受けた支援機関(登録支援機関)に支援を委託するケースが多く見られます。

2. 製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入

「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」とは、製造業3分野における特定技能制度運用に向けた、情報共有、現状把握、外国人受入れの地域差の抑止などを目的とする組織です。
特定技能所属機関になる企業・機関は協議・連絡会に加入し、協議・連絡会による指導・調査に協力する義務があります。この加入の手続きには時間を要します。また、出入国在留管理局への在留申請時には加入が完了している必要があります。そのため、特定技能外国人の受入れを決めたらすぐに手続きをしておいた方が、申請の手続きが早く済みます。

まとめ

企業の即戦力となる外国人労働者を受け入れるには、特定技能制度をしっかりと理解し、受け入れ機関に相応しい企業である必要があります。制度の運用方法を把握し、外国人労働者の受け入れに繋げましょう。

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執筆者
外国人労働者ドットコム編集部

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